時効について


時効について

時効には、取得時効と消滅時効があります。

1.取得時効

例えば、10年前から他人の土地を自分のものだと思って使用していた場合、ある一定の要件を満たすと、その土地を自分のものにすることができます。要件は、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人のものを占有することで、善意・無過失の場合10年、悪意又は有過失の場合20年間占有することです。善意とは、自分のものだと信じていたことで、悪意とは、他人のものだと知っていたことをいいます。祖父の代から数十年にわたって使用していた土地で自分のものと思っていたら、役所からあなたのものではないと言われて、取得時効の主張をするケースが意外と多いです。そういう場合は、登記簿上の所有者がどこにいるのかわからないことが多く、不在者財産管理人を選任して、訴訟で自己の名義に変更することになります。

2.消滅時効

例えば、お金を貸していて、10年間借主から返済がなく、貸主もなんら返還請求をしなかった場合、その借金は返さなくてもよくなります。これを消滅時効といいます。消滅時効の期間は、債権が10年、それ以外が20年です。所有権は消滅時効にかかりません。債権(金銭の貸し借り等)は、最後に請求や弁済した日から10年で消滅してしまうのが原則ですが、例外があります。

[例外]

  • 商事債権:5年
  • 工事の請負債権:3年
  • 不法行為に基づく損害賠償請求:3年
  • 生産者、卸売または小売商人の売掛債権:2年
  • 飲食代:1年

上記例外に当てはまる取引は、非常に多く注意が必要です。

消滅時効を止める手段として(これを時効中断といいます。)、以下の3つがあります。

  1. 請求
    例えば請求書を送ることが考えられます。しかし、これは法的には弱いものです。請求書を送ると6ヶ月間は時効が中断されるのですが、それ以降は、また時効が進行します。ですので、その場合は、支払督促をを申し立てたり、訴訟を提起したりと裁判上の請求をすることが必要です。
  2. 差押え、仮差押え、仮処分
    裁判所に差押え等をすると時効は中断します。
  3. 承認
    相手方が債務の存在を認めたときは、その時から時効が中断します。わかりやすいのが、相手方に1円でもいいから弁済してもらうことです。

債権はきちんと管理しておかないと、相手から急に時効だと言われ、泣きをみることにもなります。ご注意を!!