商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱い

1  監査役に関する改正

ア  監査役の任期は、就任後4年内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までである。

イ  監査役は、資本の額が1億円以下の会社の監査役を除き、取締役会に出席しなければならない。

ウ  資本の額が5億円以上又は最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上の会社(大会社)にあっては、監査役の半数以上は、その就任前に当該会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人となったことがない者でなければならないが、選任された監査役が社外監査役であるか否かは、従前のとおり、登記事項とはされていない。

エ  大会社の取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。

2  社外取締役の登記

ア  社外取締役とは、その会社の業務を執行しない取締役であって、過去にその会社又は子会社の業務を執行する取締役又は支配人その他の使用人となったことがなく、かつ、現に子会社の業務を執行する取締役又はその会社若しくは子会社の支配人その他の使用人でないものをいい、取締役が社外取締役であるときは、その旨の登記をしなければならない。

イ  新たに就任した取締役が社外取締役であるときは、その就任の登記と共に、その者が社外取締役である旨の登記を申請しなければならない。登記の事由は、「取締役の就任」、「社外取締役の会社に対する責任の制限に関する規定の設定」等であり、登記すべき事項は、「取締役何某は社外取締役である」旨である。

ウ  社外取締役が辞任、退任、解任、死亡等により取締役でなくなった場合には、当該取締役の辞任等の登記と共に、社外取締役の登記の抹消を申請しなければならない。登記の事由は、「取締役の辞任」等であり、登記すべき事項は、「平成何年何月何日社外取締役何某の登記辞任により抹消」等の振り合いにより記載する。

エ  社外取締役が社外取締役の要件に該当しなくなった場合は、本店所在地においては2週間以内に、支店所在地においては3週間以内に、その旨の登記を申請しなければならない。登記の事由は、「社外取締役何某業務執行(又は支配人就任、使用人就任、子会社の業務執行、子会社の支配人就任若しくは子会社の使用人就任)」であり、登記すべき事項は、「平成何年何月何日社外取締役何某業務執行(又は支配人就任、使用人就任、子会社の業務執行、子会社の支配人就任若しくは子会社の使用人就任)」の振り合いにより記載する。

オ  社外取締役である取締役について、その選任の決議の不存在、無効若しくは取消し又は判決による取締役の解任の登記をした場合には、当該取締役が社外取締役である旨の登記をも朱抹しなければならない。

3  取締役及び監査役の会社に対する責任の免除又は制限の制度の新設

ア  株主総会の決議による免除

イ  定款の定めに基づく取締役会決議による免除

ウ  定款の定めに基づく社外取締役の会社に対する責任の制限

エ  責任の免除又は制限に関する規定の設定による変更の登記

オ  責任の免除又は制限に関する規定の変更による変更の登記

カ  責任の免除又は制限に関する規定の廃止による変更の登記

(平14.4.25、民商第1,067号民事局長通達・登研658号175頁〔解説658号119頁〕、月報57巻9号265頁)