前回は、成年後見制度の概要についての説明をしました。
そこで今回は、成年後見人・保佐人・補助人(以下、成年後見人等といいます。)はどのようにして選任されるのか、選任するための必要な手続き等について説明いたします。
誰が申し立てるの?
成年後見人等を選任することができるのは、本人(自分で判断する能力が不十分な人々)・配偶者・4親等内の親族の他、市町村長です。申立てができる人は、法律で決まっています。この「4親等内の親族」ですが、具体的に言うと、次の人々です。
どこに申し立てるの?
家庭裁判所です。
どこの家庭裁判所に申立てをするかというと、「本人の住所地を管轄する家庭裁判所」です。この場合の「住所地」ですが、住民票があるところということではなく、「生活の本拠」を言います。例えば、住民票はA市にあるが、B市の施設に入所中であるような場合には、B市の家庭裁判所に申立てをすることになります。
ただし、状況によってはこれと異なることもありますので、事前に家庭裁判所に確認する必要があるでしょう。
どうやって申し立てるの? 必要なものは?
申立てをする際には、法律専門家(弁護士、司法書士)に申立てを依頼する方法もありますが、申立てをする家庭裁判所に備え付けの書面を利用して申立てをすることもできます。また、申立てをする際には次のような書類が必要になります。
- 申立人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 申立人の住民票または戸籍の附票
- 本人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 本人の住民票または戸籍の附票
- 本人の後見登記がされていないことの証明書(※)
- 本人の診断書
- 成年後見人候補者の戸籍全部事項証明書
- 成年後見人候補者の住民票または戸籍の附票
- 成年後見人候補者の登記されていないことの証明書(※)
- 成年後見人候補者の身分証明書(本籍地のある市区町村より取得)
(※)「登記されていないことの証明書」は、成年後見人、被保佐人、非補助人、任意後見契約の本人とする規約がない、という証明書で、法務局で取得できます。
申立書には、本人や申立人に関する事項の他に、「成年後見人候補者」に関する記載をする欄があります。必ずしも記載する必要はありませんが、もし記載する場合は上記のとおりの書類が必要になります。
なお、成年後見人候補者を記載したからといって、その人が成年後見人に選ばれるとは限りません。事案によっては、他の書類が必要になる場合もあります。
また、これらの書類の他に、収入印紙及び登記印紙が必要になります。申立ての種類(成年後見人・保佐人・補助人)や申立てをする家庭裁判所によって若干異なりますので、事前に家庭裁判所に確認する必要があります。
次回は、成年後見人等は具体的にどのような職務を行っていくのかについてご説明いたします。