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法エールVol.110

法エールVol.110

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ご挨拶

相変わらず寒い毎日が続いていますが、皆様、体調の方はお変わりありませんか?

日本列島への寒波の記録更新も何十年ぶりというところもあるようで、東日本を中心に甚大な被害も出ています。まずは、被害に遭われた方へのお見舞いを申し上げます。

さて、昨年は、民法(債権関係)の改正が行われました。改正内容は、主に契約に関する規定が中心で、施行日が平成32年(2020年)4月1日となっています。一部の内容については、法エールでもご紹介させていただいていますが、施行日間近になれば改めてお伝えした

いと思います。

そして、今年は民法の規定中、相続関係の改正が行われようとしています。要綱案では、配偶者の居住権を保護や相続人以外の者の貢献を考慮するための方策や遺言執行者の権限の明確化、遺産分割・遺言制度・遺留分制度・相続等に関する見直し等が示されています。

これまで、判例によって運用されていた内容を明文化したものもありますが、これまでと異なる面もあります。例えば、要綱案では、自筆証書遺言の要件を緩和し、財産目録を添付する場合に、この目録への記載は自書することを要しないとされていたり、新たに、自筆証書遺言を法務局が保管するという制度が導入されています。

時代に即した内容への改正ということでしょうが、私自身、日常生活の中で、一つ屋根の下に高齢の父親と夫婦子供とが暮らしており、相続人以外の者(例えば、義理の父母の面倒を看てきた長男の嫁)の貢献を考慮するための規定の導入後の運用が気になるところです。

これらの改正内容についても、法エールでご紹介していきたいと思います。

それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)




民法(債権関係)改正のポイント


前回より、2020年4月1日より施行される予定の民法(債権関係)改正(前回は1.消滅時効に関する見直し)について説明していますが、今回も引き続きこの改正のポイントについて説明いたします。


2. 法定利率に関する見直し

民法では、当事者が利息の支払いについて合意はしているものの、約定利率の合意がない場合や、交通事故の損害賠償などの遅延損害金など、法律の規定に基づいて発生する利息(法定利息)については、「法定利率」が適用されています。この「法定利率」は現行では、年5%(商事法定利率は年6%)に固定されており、市場金利の変動にもかかわらず常に固定的な利息を適用することは合理的とは言えません。また、明治期における民法・商法の制定以来、法定利率の見直しはされていませんでした。

そこで、改正民法では、施行時に3%に利率を引き下げ、その後、緩やかな変動制を導入することにしました。具体的には、3年を「1期」として、「1期」ごとに利率を見直し、貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標とし、この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みの数値で法定利率を変動することになります。

また、商事法定利率(6%)は廃止されることになります。


3. 保証に関する見直し

ア. 公証人による保証意思の確認

従来より、いわゆる「個人保証」を巡るトラブルは後を絶ちません。事業を営んでいる親戚から「絶対に迷惑をかけないから保証人になってほしい」と言われて断れず、後に融資を受けた本人が自己破産などで支払いができず、結果として保証人に請求されるケースなどがその例でしょう。これらは、保証人が主債務の具体的内容の認識や保証を引き受けることのリスク等について十分理解しないままに引き受けてしまうことに問題がありました。

そこで、事業用融資につき第三者個人が保証をする場合は、公証人があらかじめ保証人本人から直接その保証意思を確認したことの公正証書(保証意思宣明公正証書)を作成しなければ、保証契約自体を無効とすることになりました。

ただし、法人が主債務者である場合の取締役や、主債務者が個人である場合の事業に従事している主債務者の配偶者などには適用されません。

イ. 情報提供義務

前述のように、保証人が保証契約を締結するにあたり、主債務者の財産状況等(保証のリスク)を十分に把握していない事例は少なくなく、また、主債務者は自らの財産状況等を保証人に説明する義務を負わず、また、債権者も主債務者の財産状況等保証人に伝える義務を負っていませんでした。

この点につき、改正では、主債務者が個人に対して事業の債務の保証を委託する場合には、主債務者による保証人への情報提供義務が規定されることになりました。主債務者は財産及び収支の状況や、他の債務の有無などの情報を保証人になろうとする者に提供しなければならず、これに違反した場合は保証人は保証契約を取り消すことができます。ただし、保証人が主債務者の財産状況等について誤認をした場合などは除かれます。

また、債権者は保証人から請求があった場合、主債務者が弁済を怠っていないか、債務の残額等の情報について提供する義務を負うことになります。さらに、主債務者が分割払いの支払いを遅滞し、残債務の一括払いの義務を負った場合(期限の利益を喪失した場合)は、債権者は主債務者が一括払いの義務を負うことになったことを知った時から2か月以内にその旨を保証人に通知しなればなりません。もし、2か月以内に通知をしなかったときは、債権者は保証人に対し、通知をするまでに生じた遅延損害金を請求することができません。

ウ. 個人根保証契約

これまで、リスクの高い「根保証(継続的な取引から生ずる不特定の債務をまとめて保証すること)」について、貸金等債務の根保証をした個人保証人については平成16年の民法改正時に保護が図られていましたが、その他の債務を根保証した場合にはその保護が図られていませんでした。

そこで、改正では貸金等債務に限らず、それ以外の債務についての根保証についても極度額(根保証で担保する金額)の定めを義務化することなど、個人保証人の保護を図ることになりました。


4. 約款(定型約款)に関する規定の新設

現在、事業者は多くの契約において、取引条件をあらかじめ定めた「約款」を用いていますが、この「約款」については現行の民法では規定がありませんでした。そこで、改正民法ではこの「約款」について定義づけを行い「定型約款」として規定し、定型約款が契約の内容となるための要件(組入要件)の規定を次のとおり設けました。

定型約款を契約の内容とする旨の合意があった場合

定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ相手方に表示

(但し「公表」で足りる場合もあります。)

相手方の利益を一方的に害する契約条項であって信義則に反する内容の条項については合意したとはみなされないことも明確化されました。

また、民法の原則によれば、契約内容を事後的に変更するには、個別に相手方の承諾を得る必要がありますが、多数の顧客と個別に変更の合意を行うのは困難なのが実情です。したがって、次の(ア)又は(イ)の場合には、一方的に定型約款を変更することにより、契約の内容を変更することが可能であることを明確にしました。

変更が相手方の一般の利益に適合する場合

変更が契約の目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款を変更することがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的な場合

(次号につづく)


株式会社の事業継承について重要なお知らせ

平成30年度税制改正におきまして、株式会社の事業承継に関する大きな改正がありました。

これまでは、株式にかかる相続税の納税猶予割合が53%程(発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの株式で、その80%を上限とする割合)にすぎませんでしたが、特例により、相続税納税猶予割合が100%となりました。

この納税猶予制度の利用には、事業承継の計画を都道府県へ届けなければなりませんが、その届出が平成30年4月から受付が始まります。

この事業承継に関する制度については、4月号の手続紹介で詳しくご説明する予定です。




司法書士日記

私の子供は1歳10ヶ月なのですが、アンパンマンが大好きで、アンパンマンの歌が流れると踊ったり歌ったりします。アンパンマンは、私が子供のときから絵本があり、図書館でよく読んでいた思い出があります。そのとき読んだ話は今も覚えていて、正義の味方アンパンマンをカッコいいと感じていました。

アンパンマンは、1973年から絵本で掲載されるようになったということで、今ではアンパンマンミュージアム等楽しみ方も広がり、進化し続けています。アンパンマンの絵本を子供に読んでいて懐かしいと思うとともに、アンパンマンの進化に驚く今日この頃です。

(薄場事務所 司法書士 井上 勉)



コラム

~勝利のスマイル~

ボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチにて、比嘉大吾選手が故郷・沖縄で1ラウンドわずか2分32秒でKO勝ちした試合。

戦いの前後で比嘉選手と師匠の具志堅用高氏の表情が一変する様子にとても惹かれました。

比嘉選手は戦いに挑む目が強烈だったのに対し、試合が終われば無邪気な若者。

具志堅氏はご自身が果たせなかった沖縄でのKO勝利を弟子が達成し感慨深いようでもあり、バラエティ番組で見られる笑顔も徐々に垣間見えるようになりました。

穏やかな表情は何歳も若返った印象を与えてくれるのだと実感したので、無表情がちな(むしろ怖い!?)自分の改善だけでなく、手軽なアンチエイジングとしても、表情に意識を向けるようにしていきたいものです。

(龍田事務所 宮川 真理江)




お知らせ

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。

ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。

TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333


命の絆・大切に、輝く命・永遠に

当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。

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司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。

会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。




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