法エールVol.54

PDF版

ご挨拶

平成20年度に内閣府が実施した国民の意識調査によれば、犯罪被害者の被害回復に最も有用であるとされていることに加害者への適正処罰がありますが、その次が加害者からの被害弁償となっています。加害者が自らの犯罪や非行によって生じた被害を弁償することは、被害者等の権利利益の保護に資するだけでなく、加害者の更生改善にもつながることにもなります。

また、平成24年7月20日に開催された犯罪対策閣僚会議において決定された「再犯防止に向けた総合対策」においては、刑務所出所者等が円滑な社会復帰を果たし、自立更生していくためには、弁護士等による法的支援が必要かつ有用であるとさ
れています。

今般、この支援を充実・強化するなどの観点から、保護観察対象者(保護観察処分少年・少年院仮退院者・仮釈放者・保護観察付執行猶予者)が、犯罪被害者等に被害弁償を実行するに当たっての手続きが定められ、平成25年4月1日から実施されました。

この手続きは、保護観察対象者が、日本司法支援センター(法テラス)と連携し、被害者等の意向に配慮しながら、示談交渉等被害弁償の事項を行うに当たっての法的支援について、弁護士や司法書士等の法律の専門家を活用していこうとするものです。

被害弁償を行うに際しては、利害を調整したり、事後のトラブルの発生や二次被害を回避したりする必要があるため、法律専門家による支援が必要な場合が少なくないと考えられたものです。

熊本ではまだ活用事例はないようですが、今後、この手続きを周知・運用していくことで、犯罪被害者の支援を推進していくことにもなります。

私たちの法人でも、この手続きの浸透・促進のための支援をしていくための取り組みを行っていきたいと思っていますが、何分、実施されたばかりの手続きですので、皆様からの情報等あれば、よろしくご提供の程お願いします。

それでは、今月号もよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

裁判手続きについて(第3回)

前回は、裁判の第1回期日からの流れ等をご説明させていただきました。

今回は、判決の言い渡しから、強制執行までの流れをご説明します。

1. 判決言い渡し

第1回期日から、答弁書、準備書面、証拠書類等の書面を提出し、証人尋問や当事者尋問等の証拠調べも終了して、原・被告双方の主張が出尽くしたら、最終的に判決となります。判決となる前に、当事者で話し合いによる解決ができないかと、和解期日が設けられる場合もあり、お互いに歩み寄ることができれば、判決前に、和解で解決することもあります。

判決は、裁判官から言い渡されますが、通常は主文(主文は、「被告は、原告に対し、・・・建物を明渡せ」というような感じで、結論が簡潔に記載されています。なぜそのような判決になったのかという理由は、別に書かれます。)を読んで終わるケースが多いです。ですので、判決言い渡し期日には、当事者ともに欠席する場合が多いように感じます。裁判官からも、判決言い渡し日は、来なくてもいいですと当事者に説明されたりもしています。

 

2. 上訴(控訴・上告)

判決が言い渡されると、当事者に判決文が送達されます。そこで、当事者は、判決の内容を確認することになります。

判決が送達された後、2週間以内に、その判決に不服があれば、上級裁判所に上訴(控訴・上告)します。上訴のうち、控訴は、第1審判決に対する上訴のことで、上告とは、控訴審判決に対する上訴のことをいいます。本事案では、熊本簡易裁判所の上級裁判所である熊本地方裁判所に上訴(控訴)することになります(ちなみに、控訴状は、熊本簡易裁判所に提出します。)。

判決が送達されて、上訴をせずに2週間経過すると、判決は確定します。判決が確定すると、それ以後に判決を覆すことはできなくなります。

判決確定後、敗訴した方が判決内容を任意に履行しない場合は、勝訴した方は、強制的にそれを実現するために、強制執行手続を行うことになります。

 

3. 強制執行

本事案では、建物の明け渡しと、滞納家賃の請求をしています。仮に、家主さんが勝訴し、Aさんが建物から出ていかなければならなくなった場合、Aさんが任意に出て行ってくれたらいいのですが、Aさんが出ていかない場合、裁判所に明渡しの強制執行の申立てをすることになります。さらに、滞納家賃についても、差し押さえる財産があれば、それを差し押えることができます。

貸金請求等の金銭の支払いを求める裁判では、勝訴しても、敗訴者が財産をもっていなければ、強制執行できず、裁判は勝ったのにお金は回収できず、結局何のために裁判をしたのかと、がっかりすることもあります。裁判をする場合は、相手方がどのような財産をもっているのかを把握した上で、さらに財産がある場合は、その保全も考えて、方針を決めることになります。

 

4. まとめ

3回にわたって裁判手続きについてご説明させていただきました。訴状が届いても、慌てずにしっかりと内容を確認され、適切な対処をすることが大切です。ご心配であれば、当法人においても、裁判手続きについてご説明をさせていたきけますので、お気軽にご相談ください。

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

私は、大学生の時、ボート部に所属していました。ボートには、一艇ごとに名前がついているのですが、私がお気に入りだったのは、「星馳(せいち)」という艇名でした(ちなみに、私のメルアドには、seichiという文字が入っています。)。

そして、その星馳という名前のついた香港俳優で、周星馳(カンフーハッスル、少林サッカーの監督・主演)という方がいらっしゃいますが、私と誕生日が同じで、ジャッキーチェンのファンとのことで、私と似ている点があり、違う世界の方なのですが、親近感を感じました。

そして、周星馳の名前を逆さにした馳星周という日本の小説家(代表作「不夜城」)は、私の大好きな作家でして、その不夜城という作品は、・・・。と、先日インターネットで検索していたら、いろんなことが繋がって面白かったなーと思った次第です。

(薄場事務所 司法書士 井上 勉)

お知らせ

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。

会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333

PDF版