法エールVol.166

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ご挨拶

平成28年1月より始まったマイナンバーカードの発行手続きですが、本年7月末日時点におけるマイナンバーカードの普及率は、45.9%に留まっています。政府は、本年の年末までに国民のほぼ全員にマイナンバーカードを保有するよう目標を定めています。

司法書士の仕事では、本人確認をする場面が多くありますが、マイナンバーカードを提示される方が少しずつ増えている印象を受けます。高齢者の方は、運転免許証を返納する方が多く、顔写真付きの本人確認書類をお持ちでない方もいらっしゃいます。そのような方は、マイナンバーカードがあると、本人確認書類として使用できるので便利です。

司法書士の仕事で、もう一つマイナンバーカードを持つことで利用できることがあります。マイナンバーカードには、電子証明書というデータを記録することができます。マイナンバーカードに電子証明書を記録しておくと、公的個人認証サービスを利用することができます。公的個人認証サービスとは、オンラインで(=インターネットを通じて)申請や届出といった行政手続などやインターネットサイトにログインを行う際に、他人による「なりすまし」やデータの改ざんを防ぐために用いられる本人確認の手段です。電子証明書と呼ばれるデータを外部から読み取られるおそれのないマイナンバーカード等のICカードに記録することで利用が可能となります。

電子証明書には、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の2種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

①署名用電子証明書インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用します(例e-Tax等の電子申請)。「作成・送信した電子文書が、利用者が作成した真正なものであり、利用者が送信したものであること」を証明することができます。

②利用者証明用電子証明書インターネットサイトやコンビニ等のキオスク端末等にログインする際に利用します(例マイナポータルへのログイン、コンビニでの公的な証明書の交付)。「ログインした者が、利用者本人であること」を証明することができます。

署名用電子証明書を利用し、電子文書に署名すると、実印と同じ効果がありますので、これまで登記手続で、実印を押して印鑑証明書を添付し法務局に提出していた書類が、署名用電子証明書を利用することで、印鑑証明書を添付せずに申請することができるようになります。

今後、オンラインを利用して手続きを行う際に、署名用電子証明書が必要となる場合が多くなることが予想されますので、マイナンバーカードを利用する機会はこれからさらに増えてくるのではないかと思います。

長文になりましたが、まだ申請をされていない方にとってマイナンバーカードの交付申請を行うにあたり、ご参考いただければ幸いです。

 

それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。

(代表社員 井上 勉)

 

~組織再編①~

昨今では、社会の情勢を鑑み、企業の国際競争力の強化、経営の合理化・効率化などを得るために組織を再編し、企業の強固な体質を作り上げることを目指す企業が増えています。当法人でも組織再編に関する手続のご依頼をいただき少しずつ事例も増えています。そこで今月号からは、企業が行うホールディングス化の目的やメリット・デメリットについて、また、ホールディングス化を行うための、株式移転、株式交換、株式交付の手続きについてお伝えします。

 

組織を再編するにあたり会社を「ホールディングス化」するということを検討されることが多くなってきています。ある一つの会社(親会社)がグループ各社(子会社)の株式を取得し、子会社化します。その親会社にあたる会社を「持株会社」と呼びます。ホールディングス化とは、その持株会社が、グループ企業の経営管理やコンサルタント的に戦略や経営方針の立案などをできるような組織体制にすることを指します。その際に「株式会社○○○ホールディングス」などの商号にすることが一般的です。

 

ホールディングスには次の2種類があります。
①純粋持株会社自らの事業を持たずに子会社の管理だけを行う。
②事業持株会社自ら事業を行いながら子会社の管理も行う。

 

ホールディングス化によって、意思決定の迅速化やリスク分散などにつながり、節税効果も生まれます。すなわち、ホールディングス化と絡めて事業承継を行う場合の相続税・贈与税の節税などにも利用できるということです。ホールディングス化に伴う節税の効果の詳しい内容は、税に関する専門家にご相談ください。

 

ホールディングス化を目指す企業が用いる一つの方法として株式移転、株式交換、株式交付があります。複数の事業を展開する1つの企業が持株会社をトップとして分社化したり、既存の複数の会社が持株会社をトップにして1つにまとめたりしていきます。

 

判例紹介

身元保証契約に伴って締結した死因贈与契約が無効とされた事例

名古屋地方裁判所岡崎支部 令和3年1月28日判決

事案の概要

X(NPO法人)は、家事支援、病院、福祉施設および賃貸住宅の身元保証、危篤時の対応、逝去時の遺族への連絡、病室内の荷物の撤去などの万一の支援、葬儀支援、永代供養支援、納骨支援を行っていた。Aは、夫と死別し、子はなく、C市が運営し、社会福祉協議会(以下、社協)が指定管理者となっている養護老人ホームBに入居していた。なお、Bの施設長及びBの夫はC市の元職員である。

AがBに入所の際はAのいとこが身元保証人となっていたが、その後辞退したため、Bの生活相談員がXをAにあっせんした。XはAとの間で、Bの施設長立会いのうえで、「家族代行サービス契約書(高齢者・障がい者のための身元保証支援等契約書)」と題する書面により本件身元保証契約を締結した。その契約書には、登録料20万円、予備費5万円、身元保証料(管理費)15万円、万一の支援費用10万円、葬儀支援費用30万円、納骨支援費用10万円、合計90万円の記載があった。1カ月後、XはAとの間で死因贈与契約を締結した。その契約書は定型で、Aが不動産を除く全財産をXに対し無償で贈与すること、Xを死因贈与の執行者に指定することなどが記載されていた。その後、Aは死亡したが、Aの死亡時において、AはY信用金庫に約621万円の預金を有していた。XはY信用金庫に対し、預金の支払いを請求したが、Y信用金庫は以前Xが預金者の相続人とのトラブルを起こしていたことなどから、預金の支払いを拒否したことろ、Xが訴えを提起したものである。

 

裁判所の判断

本判決は、以下の事情等により本件死因贈与契約は民法90条の規定する公序良俗に違反し、無効であるとして、Xの請求を棄却した。

介護施設が、身元保証人がいないことを理由に退去を求めることは、平成11年厚生省令で認められておらず、Bは本来、Aに対して新たな身元保証人を求めることはできない。しかし、Bは、Aのいとこが身元保証人を辞任するとXをあっせんし、XはAが身元保証契約を締結する必要がないことを認識していないことを奇貨として、身元保証契約および死因贈与契約を締結している。

X代表者の夫の前職がC市職員で、社協を指導する立場にある福祉事務所の副所長であったことなどからして、C市および社協とXとの間に癒着構造が認められ、それが基礎となって本件身元保証契約および本件死因贈与契約が締結されている。契約書では本件身元保証契約は契約内容が不明確であり、Xがどのような法的義務を負うこととなるかも不明である。

XはAの不安に乗じて、身元保証契約および死因贈与契約を締結しており、Xの行為は判断能力の衰えた高齢者の保護を図る消費者契約法4条3項5号に抵触する。また、Xが受け取る金額はXが予定している行為に対し明らかに対価性を欠き暴利である。死因贈与契約を締結し、その執行者をXとすることで遺族がAの死後事務を適切に行ったことを確認できなくなっている点でも、本件契約は問題である。

 

コメント

この裁判例はマスコミでも取り上げられ、高齢者支援の在り方について一石を投じた事案です。高齢者に対する生活支援サービスは多様になってきています。これに伴い、残った財産を遺贈する遺言や、本件のような死因贈与契約がなされることもあります。お世話になった人へ財産を残したい気持ちは自然な感情ではありますが、それが高齢者自らの意思ではなく、第三者の関与や要請によってなされた契約等であれば問題です。高齢者が自らの意思を実現できる環境を社会全体で作るという認識が必要です。

 

コラム

~改めて感謝~

今年母が喜寿を迎えました。

昨年は父が喜寿を迎えていましたが、コロナの影響でお祝いすることができなかったで、今年2人まとめてお祝いをしました。

久しぶりに親戚も集まって、両親ともに喜んでいました。

父にはギャーギャーと厳しいことを言われたことはなく、ただ静かに威厳をもって接してくれました。

「やればできる」という父の言葉。

目指す目標に向かって思い出される言葉です。

母には、高校3年間早朝6時の電車で通学する私のお弁当を作ってくれていました。

体力的にもきつい時があったと思います。

今でも時々お弁当を作ってくれます。

今でも3人で楽しくワインを飲めることに幸せを感じています。

これからも健康第一で、仲良く過ごしてもらいたいです。

改めて「いつもありがとう! 」

行政書士法人ヒューマン・サポート 行政書士 中村 享子
(司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター連携行政書士)

 

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