法エールVol.164

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ご挨拶

熊本市出身のプロ野球選手、ヤクルトの村上宗隆選手が、5打席連続ホームランを打ちました。これはプロ野球新記録ということで、弱冠22歳の若者が快挙を成し遂げました。村上選手は、これまで新人王、最高出塁率、ホームラン王、セ・リーグMVPなど、輝かしい結果を残されて
います。

村上選手は、5歳から野球をはじめたということです。小学生のときから、日課として素振りをはじめ、高校生まで続けていたということです。このような日々の積み重ねが、今に活かされているということでした。

ペンシルバニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース女史は、努力と才能はどちらが大事だと思うかと調査したところ、アメリカ人は、努力と答えた人が才能と答えた人のおよそ2倍いたとのことでした。確かに、才能があり、その才能を活かすことができれば素晴らしいことだと思います。しかし、才能があってもそれを活かそうとしないのであれば、その才能は無駄になってしまいます。それよりも、目標を定め、それに向かって弛みない努力を重ねることで、人間として成長することができますし、結果も伴ってくると思います。

村上選手のように一流と呼ばれる方は、一見才能の塊のようで、うらやましく思えてしまいますが、そういう方の多くは、見えないところで、日々の努力を怠らずに、コツコツ成果を積み重ねていらっしゃいます。

弊法人も、村上選手のように日々の弛まぬ努力を続け、今以上に皆様のお役に立てる法人となって参ります。

 

それでは、今月の法エールよろしくお願い致します。

(代表社員 井上 勉)

 

~実質的支配者リストの創設②~

前回より、株式会社(特例有限会社を含みます。以下、総じて「株式会社」といいます。)の申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社が作成した実質的支配者情報一覧(以下、「実質的支配者リスト」といいます。)につき、所定の添付書面により内容を確認して、その写しを発行する制度の創設について説明しています。

今回は、実質的支配者リスト制度の手続きの流れについて説明します。

 

1.実質的支配者リストの保管及び写しの交付の流れ

(1)実質的支配者リストの作成

前回説明した実質的支配者(※)に該当する自然人がいる場合、法務局所定の実質的支配者リストに商号、本店、実質的支配者の本人特定事項等必要事項を記載します。

(※)この制度の実質的支配者は、以下の①又は②のいずれかに該当する者をいいます。
(犯収法施行規則第11条第2項第1号の自然人(同条第4項の規定により自然人とみなされるものを含む。)に該当する者)

1.会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人
2.1に該当する者がいない場合は、会社の議決権の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人

 

(2)申出書の作成

法務局に(1)で作成した実質的支配者リストを提出するため、法務局所定の実質的支配者リストの保管及び写しの交付申出書に必要事項を記載します。なお、この申出書には、実質的支配者リストの利用目的も申し出る必要があります。また、保管の申し出とあわせて、交付してもらう実質的支配者リストの写しの通数も記載します。

 

(3)添付書類の準備

上記(2)の申出書とあわせて、以下の添付書類を法務局に提出する必要があります。

① 実質的支配者リストの内容を証する書面

  • (ⅰ)申出会社の申出日における株主名簿の写し
    設立から最初の事業年度を経過していない公証人発行の定款認証時の申告受理及び認証証明書又は法人税確定申告書別表二の明細書の写し(直前事業年度のもの)の添付でも可能
  • (ⅱ)合致していない理由を明らかにする書面
    作成した実質的支配者リストと、上記(ⅰ)の書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した代表者作成にかかる書面の添付が必要

次の(ⅲ)から(ⅴ)は提出義務はありませんが、任意に添付した場合は、実質的支配者リストの確認資料となります。

  • (ⅲ)上位会社の申出日における株主名簿の写し
    例えば、A社とその親会社B社(A社の51%以上の株式を有する会社)が、C社の株式をあわせて51%を有する場合には、B社が上位会社となります。
  • (ⅳ)合致していない理由を明らかにする書面
    上記(ⅲ)の書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した代表者作成にかかる書面
  • (ⅴ)実質的支配者の本人確認の書面
    住民票の写し、運転免許証の両面のコピーに当該実質的支配者が原本と相違ない旨を記載したもの)

② 司法書士等代理人によって申し出をする場合には委任状など代理権限を証する書面

③ 申出会社の代表者の本人確認書面
(※申出書又は委任状に法務局に提出の代表印が押印されている場合を除く)
代表者の氏名・住所を確認することができる本人確認書面

例)運転免許証の両面コピー、マイナンバーカードの表面コピー(いずれも代表者が原本と相違ない旨を記載し、記名したもの)住民票の写しなど

 

(4)申出書の提出

作成した実質的支配者リスト、申出書及び添付書類は、申出をする会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。なお、郵送による申出も可能です。

次回は、実質的支配者リストに関する再交付の申出と、実質的支配者リスト制度のQ&Aをご紹介します。

 

判例紹介

愛媛県玉串料訴訟(玉串料としての公金支出と政教分離の原則)

最高裁判所大法廷 平成9年4月2日決定

事案の概要

愛媛県が、宗教法人D神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である「例大祭」に際し、玉串料として9回にわたり各5,000円(合計45,000円)を、同「みたま祭」に際し献灯料として4回にわたり各7,000円又は8,000円(合計31,000円)を、宗教法人愛媛県E神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である「慰霊大祭」に際し供物料として9回にわたり各10,000円(合計90,000円)を、県の公金から支出(以下、「本件支出行為」という)して奉納した。

これらの行為に関し、愛媛県の住民であるXらが、本件支出は憲法第20条第3項、89条等に照らして許されない違法な財務会計上の行為に当たるとして、住民訴訟を提起した。

控訴審は、第一審の違憲判断を覆し、本件支出行為は社会的儀礼行為に当たるなどとして合憲と判断した。そこで、Xらは上告した。

 

裁判所の判断

一部破棄自判、一部上告棄却。

 

判旨

本件支出行為は、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有するものであるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法20条3項、89条に違反する。

 

コメント

憲法第20条第3項において「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」、同第89条において「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、…これを支出し、またはその使用に供してはならない。」と規定されています。これらの規定に関し、同第20条第3項は、「国家の非宗教性ないし宗教的中立性の確保」という政教分離の原則を、同89条はこの政教分離を財政面から裏付けるものとの説明がなされています。

また、政教分離の原則に違反するか否かの判断に際しては、一般的に、所謂「目的効果基準」が採用されています。この基準とは、①問題となった国家行為等が、宗教的意義を持つかどうか(社会的儀礼かどうか) ②その行為の効果が、宗教に対する援助、助長等、又は圧迫、干渉等するものかどうか③上記目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えているものと認められるかどうかの三要件を検討し判断するものです。

本件ではこの三要件を満たすとして憲法第20条第3項の禁止する宗教的活動に当たると判断した訳です。

最近では、国葬儀の開催が大きな話題となっています。国葬儀自体は宗教的意義を有するものではありませんが、われわれの税金が使われる国葬儀が、どのような形式で挙行されるのか、どのような意義を有するのか、今後も国民的な議論がなされるものと思われます。

 

コラム

~地元が取組む基盤整備事業がいよいよ着工!~

私は地元の国営緊急農地再編整備事業(通称「基盤整備事業」)の推進委員として関わっており、平成29年から取組みを開始したこの基盤整備事業が、本年10月から工事に着工する運びとなりました。

この事業は、中心となる農家(「中心経営体」)への農地の集積・集約と、これを前提として、表作の中心である水稲に加えて、裏作・転作として高収益作物の導入を推進し農業競争力を図ることを目的とするもので、令和16年竣工を目指して本事業が進められます。

ただし、転作・裏作で何を栽培するのか、農事組合等集落営農法人による組織化の必要性など、解決すべき課題もあります。

今後も推進委員の一員として地元の農業の活性化のため活動して参ります。

そして、ロシアのウクライナ侵攻等の影響に見られる物価高や日本の食糧危機を回避し、日本の食糧を確保すべく、「稼げる農業」「次世代を担う若者後継者の育成」の一助となれば最高の喜びです。

行政書士法人ヒューマン・サポート 行政書士 藤田 賢司
(司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター連携行政書士)

 

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