法エールVol.144

PDF版

ご挨拶

新型コロナウイルスのワクチンが開発され、アメリカやイギリスではワクチン接種が始まりました。日本では、来年初旬ごろからワクチン接種が始まるのではないかといわれています。

先日、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生の記事を読みました。先生は、イベルメクチンという薬を開発してノーベル賞を受賞されました。この薬は、体内に入った寄生虫を殺虫する効果があり、多くの皮膚病等の治療で現在も使われています。去年は4億人もの方がこの薬を飲んだということでした。

大村先生は、ノーベル賞受賞した際のレクチャー論文の中で、この薬はウイルスにも効くと紹介されました。そのため、医学者の中には、イベルメクチンがコロナに効果があるのではないかと考えたとのことです。実際に、ハーバード大学の教授がイベルメクチンによってコロナ感染者の致死率が下がったとするデータがでたと論文で発表したり、アメリカの病院で患者が服用したところ、40%致死率が下がったとの結果が出たということでした。

北里大学大村智記念研究所感染制御研究センターは、イベルメクチンのコロナウイルス感染症の治療薬として臨床実験を行っており、来年3月にそれを終了するということです。

イベルメクチンは、これまでたくさんの方に服用され、副作用があまり発生しておらず、皮膚薬としての実績がありますし、安価でもあるということなので、承認されれば世界中で使われるのではないかと思います。

まだまだ、新型コロナウイルスは終息の気配を見せておりませんが、人類の英知が結集され、コロナウイルスに打ち勝ち、人類はさらなる進化を遂げていくのではないかと感じます。

それでは、今月の法エールよろしくお願いいたします。

(代表社員 井上 勉)

 

動物愛護管理法について

これまで、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)についてご紹介してきました。今回は、動物愛護管理法に規定されている動物取扱業者の規制や罰則等に関して説明します。

 

1. 動物取扱業者の規制

第一種動物取扱業者(ペットショップやペットホテルなど、動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)になるためには、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事又は政令指定都市の長の登録を受けなければなりません。第一種動物取扱業者の登録を受けるためには、動物取扱責任者を配置することが義務付けられています。この動物取扱責任者は第一種動物取扱業の実務経験を有し、又は第一種動物取扱業の技術を習得する専門の学校を卒業しているなどの要件が必要です。また、都道府県知事又は政令指定都市の長は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。悪質な業者は、登録の拒否や取消しをされたり、業務の停止命令を受けることがあります。

第一種動物取扱業者であることを確認するには、ペットショップ等において、第一種動物取扱業者の登録番号や動物取扱責任者などが記載された標識が掲示されているかを確認すると良いでしょう。

また、飼養施設を設置して営利を目的とせず一定数以上の動物の取扱いを行う場合については、第二種動物取扱業者(動物の譲渡し、保管、貸出、訓練、展示を非営利で業として行う者)として、都道府県知事や政令指定都市の長に届け出なければなりません。

 

2.罰則

愛護動物(※)をみだりに殺し又は傷つけた場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます。また、愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処され、遺棄した者も、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

 

これまで動物愛護管理法について説明しました。ペットでも産業動物であっても、生き物として愛情をもって接していくことで、人間と動物が共に生きていける社会をつくっていけると良いですね。

※愛護動物とは

  1. 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
  2. その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

 

判例紹介

ツイッターに投稿された前科等に関する記事の削除請求の可否

東京高等裁判所 令和2年06月29日判決

事案の概要

Aは、建造物侵入の被疑事実で逮捕された。その後、公訴提起され、罰金10万円に処する旨の略式命令を受けて同罰金を納付した。この逮捕に関する事実はインターネット上で報道され、ツイッターでは、不特定多数の者が本件記事を転載するとともに、リンクを張って投稿した。これに対し、Aは、上記記事により前科等を公表されない利益が侵害されていると主張して、ツイッターを管理する運営会社Bに対して、上記各利益に関わる人権及び人格的利益に基づく妨害排除請求権に基づき、本件各投稿記事の削除を求めた。

一審は、「本件逮捕に関する事実を公表されないAの法的利益は、本件投稿記事により本件逮捕に関する事実の公表を継続する法的利益ないし必要性に優越する」として、Aの請求を容認した。これに対して、Bが控訴したのが本件である。

裁判所の判断

原判決取消し、請求棄却(Bの勝訴)。

個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる。逮捕の事実も、プライバシーに属する事実であって、みだりに公表されないという法的保護を検討すべきである。ツイッターは、現代社会において情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。ツイッターに投稿された記事の削除を命じることは、インターネット上の情報流通の基盤としての役割に対する制約になる。そうすると、プライバシーに属する事実を含む投稿記事を、ツイッター上に表示し、一般の閲覧に供する行為が違法か否かは、諸事情を比較衡量して判断すべきものである。

そして、投稿記事の削除を求めることができるのは、比較衡量の結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合に限られると解するのが相当である。各投稿記事は、Aが社会的に非難されるべき行為をした事実を摘示するものとして、公益を図る目的に発している。現時点(事件より7年以上経過している)においては、グーグルを用いて検索しても、本件記事は表示されない。ツイッターならなおさらである。したがって、各投稿記事によってAが具体的被害を受ける可能性は低下している。以上の事実を総合すると、各投稿記事から、社会的な不利益を受ける可能性が消滅したわけではないとしても、その可能性は低下していることを鑑みれば、各投稿記事を一般の閲覧に供する諸事情よりも本件逮捕の事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえないとして、第1審でのAの請求を棄却した。

コメント

もし、Aさんが真摯に自らの罪を悔い、更正への道を歩みはじめようとしていたら、ネット上の記事が、その妨げにならないだろうか。公の罰を受けた後、どれくらいの期間、情報が曝され、社会的制裁を受けたら、Aさんの贖罪は終わるのか・・・。明確な線引きは難しいと思います。

 

コラム

~地元で取組む基盤整備事業~

私の住む地区で進んでいる基盤整備事業のお話しを少し。

令和3年着工、工期15年のこの事業は、中心経営体(農業の中心となる農家や農業法人)への農地の集積・集約により農作業の効率や生産性の向上などを目的としています。

どの農村地帯でも専業農家数が減少し、専業農家でも高齢化が進み後継者不足、表作の水稲への依存などで農業の先行きは決して明るいものではありません。

無策では、農業は衰退し、国家の食糧的危機が到来することは目に見えています。

この農村地帯の抱える諸問題を解決するのがまさに今回の事業です。

事業実施により、三方張りのコンクリート水路、幅員の拡張されたアスファルト道路、用水のためのパイプラインの完備などが実現します。

農村地域が完全にさま変わりをして生まれ変わります。

新時代の農業実現に向けての地元の盛り上がりや本気度はまだまだです。

私は事業推進委員の一員として事業の遂行に関わっており、換地原案の作成にとりかかる今が正に頑張り所。

次世代の農業を担う人々のために、魅力ある農家、稼げる農業の実現に少しでも尽力できればと決意を新たにしているところです。

行政書士法人ヒューマン・サポート 行政書士 藤田 賢司

 

お知らせ

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333

命の絆・大切に、輝く命・永遠に

当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-337-1251 FAX 096-337-3355

司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。
会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。

PDF版