ご挨拶
熊本県南部を中心にした豪雨災害から1ヶ月が経ちました。
復興に向けて被災者の方は様々な取り組みをされておられますが、まだまだ道半ばとのことです。
理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県外からのボランティア受付ができないことが大きいのではないかと思います。
弊法人のお取引先で、豪雨災害復旧の支援をしている法人があります。
そこは、クラウドファンディング(インターネットを利用した資金調達)を活用したり、企業に直接寄付をお願いして、約3800万円の寄付を集めました(8月14日現在)。
寄付されたお金は、物資の購入の他、被災地で支援活動する学生に給与(日当)を支払う資金に使われるということです。
ボランティアが集まらない中、学生を集結させ、被災地支援活動を行うという発想が素晴らしいと感じました。
学生は、バイト収入が減り、生活が厳しいという方もいらっしゃいますので、被災地だけではなく、学生の方も経済的に救われるのではないかと思います。
最近は、ZOOM等での会議が増え、人と直接会う機会が減りました。
人と接する機会が減ると、自然と活動自体も減っていくように感じ、組織が活性化していかないように感じていました。
しかし、上記のような取り組みは、そのような環境下にあっても、新たな取り組みとしてモチベーション高く活動されており、私自身反省させられました。
どのような環境下にあっても、自社の理念に基づき、行動することが大切だと感じました。
先月も書かせていただきましたが、弊法人にできることは、法律を基にした支援です。
何かお困りごとがございましたら、お電話やメール等、お気軽にご相談ください。
それでは、今月の法エールよろしくお願いいたします。
(代表社員 井上 勉)
会社法の一部を改正する法律について
令和元年12月4日、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号、以下「新法」といいます。)が成立しました(同月11日公布)。今回の改正は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るためのものです。今月と来月の2回に分けて、改正点の概要をお伝えします。
第1 会社法の一部を改正する法律の概要
1. 株主総会に関する規律の見直し
現行法上、インターネットを用いて株主総会資料を株主に提供するためには、株主の個別の承諾が必要です(会社法第299条第3項)。今回の改正では、株主に対して早期に株主総会資料を提供し、株主による議案等の検討期間を十分に確保するため、株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対し当該ウェブサイトのアドレス等を書面で通知する方法により、株主に対して株主総会資料を提供することができる制度が創設されました(新法第325条の2~第325条の5)。
2.株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備
近年、一人の株主が膨大な数の議案を提案するなど、株主提案権の濫用的な行使事例が発生しました。今回の改正では、このような濫用を制限するため、株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数を10までとする上限を設けました(新法305条第4項、第5項)。
3.取締役の報酬に関する規律の見直し
- 取締役の報酬等を決定する手続の透明性を向上させるため、取締役の個人別の報酬の内容が株主総会で決定されない場合には、一部の大規模の監査役会設置会社又は監査等委員会設置会社の取締役会は、その決定方針を定め、その概要等を開示しなければならないものとなりました(新法361条第7項)。
- 取締役の報酬として株式や新株予約権を付与する場合の株主総会の決議事項に、株式数の上限を加えることになりました(新法361条第1項)。
- 上場会社が取締役の報酬として自社の株式を発行する場合には、株式と引換えにする出資の履行を要しないものとなりました(新法202条の2他)。
第2 会社法の一部を改正する法律の施行日
今回の改正は、公布の日から1年6月以内の政令で定める日から施行されます。ただし、株主総会資料の電子提供制度の創設等の一部の改正については、公布の日から3年6月以内の政令で定める日から施行される予定です。
判例紹介
再転相続における熟慮期間について
最高裁判所 令和元年08月09日判決
事案の概要
銀行に対し保証債務を負っていたAは、同銀行から訴えを提起され、同銀行の請求を認容する判決が言い渡されていたところ、平成24年6月30日に死亡しました。その後、Aの相続人である妻らによる相続放棄の申述が受理され、当該相続放棄により、Aの兄妹らがAの相続人となりました。平成25年6月、これらの相続人のうち、B他1名を除く9名による相続放棄の申述が受理されました。
Bは、平成24年10月19日、自己がAの相続人となったことを知らず、Aからの相続について相続放棄の申述をすることなく死亡しました。Bの相続人は、X他2名でしたが、Xは同日頃、XがBの相続人となったことを知りました。
Yは、上記銀行の債権を譲り受け、平成27年11月2日、Xに対して強制執行することができる旨の承継執行文の付与を受けました。
Xは、平成27年11月11日、上記承継執行文の謄本などの送達を受け、それにより、BがAの相続人であり、XがBからAの相続人としての地位を承継していた事実を知りました。
Xは、平成28年2月5日、Aからの相続について相続放棄の申述をし、同月12日、同申述は受理されました。
Xは、Yに対し、上記相続放棄を異議の事由として、執行文の付与された債務名義に基づくXに対する強制執行を許さないことを求める執行文付与に対する異議の訴えを提起しました。
裁判所の判断
「民法916条にいう『その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時』とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである」と判示しました。すなわち、再転相続における第1の相続の熟慮期間は、第1相続の相続人としての地位を自己が承継した事実を知った時点から起算されるとして、Xの執行文付与に対する異議の訴えが認められました。
コメント
未婚率の上昇や、子どものいない方が多い昨今、親族の債務や、再転相続を知らないがゆえに債務を背負ってしまう場面は今後も増えていくと思われます。今回の最高裁判断により、相続放棄をした人に有利となる解釈の可能性が広がることで、予期せぬ負担を背負ってしまう人が少しでも減ることを期待したいと思います。
民法第915条
- 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
- 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる
第916条
相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
コラム
~夕立の思い出~
この7月より、法人に入社し、現在龍田事務所に勤務しております山田祐樹と申します。
40代後半ではありますが、司法書士試験合格を目指して、日々勉強しています。
どうぞこれからよろしくお願い致します。
さて、ここ数日の夕立をきっかけに、四半世紀以上前の記憶が蘇ってきました。
当時、私は野球部に所属していて、夏の午後はいつも小学校のグランドにいました。
毎日のように夕立に降られて雨宿りしながら、仲間とふざけあっていたように思います。
最近、夕立の来る日はめっきり減り、そのかわり一回来ると昔の何日分かをまとめたような激しい雨と雷・・・。
あの頃は夕立も今より穏やかで優しかったような気がします。
多分に美化された記憶です。
幼い頃の雨の降り始めのグランドのにおいが、今でも鼻の奥に残って涙腺を刺激します。
その一方で、一年前の事、一か月前のことは全然思い出せません。
年齢を重ねるとこんな感じになっていくのでしょうか・・・。
龍田事務所 山田 祐樹
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