法エールVol.139

PDF版

ご挨拶

熊本県南部を中心にした豪雨災害では、甚大な被害が発生しました。被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。弊法人でも少しでもお力になれればと募金等の支援をさせていただきましたが、今後も引き続きご支援できればと思います。

振り返りますと、熊本地震の際は、弊法人で無料相談をさせていただきました。補助金や助成金等の資金的な支援が国等から出され、その支援を弊法人と関連する行政書士法人ヒューマン・サポートでさせていただきました。今回の熊本県南部の豪雨災害におきましても、熊本地震のグループ補助金をさらに拡充したものが用意されるようなので、こちらでも前回同様、ご支援できればと考えております。

また、新型コロナウイルスの流行の影響から、経営状況の悪化や収入の減少等により、会社や個人からの債務整理の相談が増えつつあります。現在は、手続の概要について教えて欲しいという相談が多く、具体的に手続をするところまではいかないものの、このまま売上が上がらなければ会社をたたまなければならないと、切実なご相談もお受けすることがあります。

事業者にとっては、決して恵まれた経営環境ではない中、各事業者は、少しでも経営状況の改善のため、今までとは違った取り組みをされております。弊法人も、ご相談者に寄り添った更により良い取り組みをしていかなければならないと思い、社員とともに検討しております。

このような時期だからこそ、お互いに助け合いながらこの危機を乗り越えていけたらと考えております。

それでは、今月の法エールよろしくお願いいたします。

(代表社員 井上 勉)

 

遺言書保管制度

令和2年7月10日から遺言書保管制度がスタートしました。自筆証書遺言は、公正証書遺言と異なり費用がかからず作成でき便利ですが、遺言書の紛失・改ざんのリスクがあり、遺言書の検認が必要なる等のデメリットがありました。それらのデメリットを軽減し、遺言者の意思の実現及び相続手続きの円滑化のため、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が創設されました。

今月は、保管制度の概要をお伝えしていきます。

 

1.管轄・予約

遺言者の住所地又は本籍地、あるいは遺言者の有する不動産の所在地を管轄する法務局に申請することができます。まずはいずれかの法務局に申請するかを選択し、法務局に予約(インターネット予約又は電話)をとる必要があります。

 

2.必要書類等

予約日に次の書類等を持参します。

  1. 申請書
  2. 本籍地付きの住民票
  3. 本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカード、旅券など1点)
  4. 遺言書
  5. 手数料3,900円分の収入印紙

 

3.注意点

1. 遺言書が数枚にわたる場合、ホッチキス止めはしないようご注意ください。割り印は不要ですが、ページ番号を振る必要があります。

2. 用紙サイズはA4サイズで、地紋、彩色のない紙(無地の白紙)をご使用ください。

 

判例紹介

投資用マンションの勧誘における説明義務

東京高等裁判所 令和元年09月26日判決

事案の概要

Xは給与生活者の男性である。Xは投資用マンションの電話勧誘を受け、2011年6月にA(不動産業者Yの営業担当者)と面談した。Aは、Xに対し、ローンを利用して購入しても、毎月の負担額は1万円弱であり、確定申告をすればその節税効果もあるなどと投資のメリットを強調する勧誘をした。そこでXは、Yからあっせんされた銀行の提携ローンを利用して、本件H号室を購入することにした。Xには、自己資金が150万円しかなく、自己資金を代金の一部や諸費用の支払いに充て、預貯金がほぼなくなった。

同年8月上旬、AはXに対して、今度は同じマンションのI号室の購入を勧誘した。Aは、Xに対し、年金対策としてもう1つ投資物件を持ち、退職時に売却し、その売却益で残債務を返済する方法があると説明し、複数のマンションに投資するメリットを強調してI号室の契約を勧誘した。

XとYとの間には、賃料保証のあるサブリース契約(一括借り上げでの家賃保証契約)が締結されていたため、しばらくの間は毎月の負担額は月1万円弱ですんでいた。しかし、XはYからサブリース契約の更新後の賃料を1割下げると言われたことから、サブリース契約を更新せずに解約し、家賃収納代行契約に切り替えた。そうしたところ、I号室の入居者が突然退去した。これにより、Xは初めて家賃が入らないことを経験した。Xは今後も同様の事態が起こるのではないかと不安を感じ、H号室およびI号室を代金約1,900万円で売却した。そのうえで、Xは、本件マンション投資で損害を被ったのは、Aの勧誘に不利益事実の不告知、詐欺的な勧誘、断定的判断の提供、説明義務違反の違法行為があったためであるとして、Yに対して民法715条1項に基づき、H号室につき440万円余と遅延損害金の支払いを、I号室につき354万円余と遅延損害金の支払いを求めて提訴した。

裁判所の判断

AのXに対する勧誘は、X主張の不利益事実の不告知、詐欺的な勧誘、断定的判断の提供に当たる行為があったとまではいえないものの、Xはこれまで不動産の購入や投資を一切経験したことがなく、投資に充てることのできる自己資金もわずか150万円程度に過ぎなかったことから、Xに対し多額のローン債務を負担させてまで各2,000万円超のマンション投資を勧誘するAとしては、少なくともマンション投資についての空室リスク、家賃滞納リスク、価格下落リスク、金利上昇リスク等を分かりやすく説明すべき注意義務を負っていたというべきである、と判示した。そのうえで、Aはマンション投資のメリット(年金対策や税金対策等)のみを強調し、リスクにつき具体的に説明せず、むしろXがこれらのリスクを理解していないことを認識しながら、リスクを無視したシミュレーションを示し、Xの誤信に基づいてH号室及びI号室を購入させたと認定し、Aの勧誘には違法行為(説明義務違反)があった、としてXの請求を認容した。

コメント

投資用マンションの勧誘の場合の説明すべき内容や説明の程度が問題になることがありますが、本判決ではその範囲や程度を具体的に示しています。説明すべき側も、説明を受ける側も、不動産という大きな財産を扱うことになりますので、互いに慎重に判断すべき必要があります。

 

コラム

~マスクを探し出せ!!~

今年4 月下旬のある日のこと。。

ウォーリーを探せ! ならぬ、マスクを探せ! ! コロナウイルスの影響で、マスクが無い。

平日は買い物に行くことが難しいため、土曜日に、いざ出発。

朝、9時に家を出て、まずは近くの薬局へ。「本日、マスクの入荷はありません」

阿蘇方面へ移動しつつ、道沿いの薬局・ドラッグストアに入るも全て売切れ。

泣く泣く家に帰ると、かぁーちゃんが「面タオルで、マスク作ってみたバイ! 」

見つけた! かぁーちゃんの優しさとともに。。(笑)

清水事務所 福島 直也

 

お知らせ

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333

命の絆・大切に、輝く命・永遠に

当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-337-1251 FAX 096-337-3355

司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。
会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。

PDF版