法エールVol.124

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ご挨拶

先日、ある経営者の方から、熊本県のGDPは、世界約200カ国の内85番であるというお話をお聞きしました。世界で見たときに、熊本の経済成長率は中の上にあるようです。このように、熊本をひとつの国として考え、GDP等を見ていくと、これまでと違った視点で熊本県を見るきっかけとなり、大変勉強になりました。

熊本は、全国でもトップ10の出生率を誇っているということなのですが、人口は減る一方です。熊本県ではここ数年で毎年1万人弱の人口減少があっているということで、その原因は出生者と死亡者で死亡者の方が多いということがありますが、県外へ流出する人も多いということです。流出先でみると、東京、神奈川、名古屋、福岡等の大都市圏に転出する方が多いようです。

熊本の企業の中には、人材不足を経営課題として挙げるところが多いと聞きます。その一方で、就職する側から見ると、熊本にどのような企業があるかがわかりずらく、就職しにくいという意見があるということです。その対策として、熊本の中小企業の認知度を上げようと、県をはじめとして、様々な取り組みが行われているようです。

熊本は、農業、観光資源、医療等、さまざまな分野で強みがありますが、熊本をより魅力的な都市にしていくためにも、微力ながら弊法人も人材育成をはじめ、社会に貢献できる法人となるよう努力する次第です。

その一環としまして、弊法人では、相続法の改正セミナーを開催する予定です。相続は誰しもが経験することではありますが、意外と知らないことが多くあります。特に今回の相続法の改正は知らないと損をする内容が多いです。そのため、相続法の改正を多くの方に知っていただきたく、企業様の社員様向けにセミナーや情報提供を行っていきます。朝礼の10分でもお時間をいただけましたら、弊法人の司法書士がお伺いいたしますので、お気軽にお申し込みください。

それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。

(代表社員 井上 勉)

社債の発行

昨今の企業の社会における役割も段々と大きくなっていっているようです。そのため、資金の調達方法も広げていかなければならないのではないでしょうか。そこで、今月は「社債」についてお伝えしたいと思います。社債を知ることによって資金調達の一助になるかもしれません。

社債とは、会社が資金調達の手段として、一般から資金を募り、その際に発行する有価証券です。社債の引受人(購入者)は、その利息を受領することによって、利益を得ることができます。社債は債権であり、決められた償還期限が到来すると投資金額が返還されます。

同じく会社の資金調達手段の一つに株式の発行があります。社債と株式との大きな違いとしては、発行した会社に返還する義務があるかどうかです。株式については、会社は投資した金額を返還する義務がありません。株主としては株価の変動によって利益や、配当金を受領することができる可能性がありますが、必ずしも利益がでるとは限りません。

社債の発行は、大きく分けると2つの方法があります。私募債(少人数)と公募債です。公募債とは、広く公に募集される債券で、だれでも購入できる債権のことをいいます。公募債を発行する場合は、銀行や信託会社などの社債を管理する会社(社債管理者)を設置しなければなりません。また、有価証券届出書等の開示義務などが生じることとなり手続きが煩雑になります。

これに対し、少人数私募債を発行する場合は、社債の引受人数が50名未満であることを含め、その他要件を満たす場合に発行することができ、社債管理者を設置したり、有価証券届出書等の開示義務などを回避できます。そのため、少人数私募債の方が比較的安易に発行することができ、資金調達にも迅速に行うことができます。

今後は資金調達の一助として、社債の発行などもご検討されてみてはいかがでしょうか。

判例紹介

マンスリーマンションの入居者に公共放送の受信契約締結義務を認めた事例

東京高等裁判所 平成29年5月31日判決

事案の概要

Xは、勤務先の会社の指定により、2015年10月19日、不動産会社A社が提供する部屋に入居した。なお、本件物件は建物の所有者からA社が賃借したものであり、Xの退去予定日は同年11月27日とされていた。いわゆるマンスリーマンションであり、家具や家電製品が設置されており、テレビも設置されていた。

10月28日、受信料の契約締結・収納業務を委託されているB社の従業員Cが訪問し、受信契約を締結する旨の法律上の義務があると説明して、契約の締結を求めた。Xは、放送受信契約書に署名し、10月分および11月分の受信料2,620円を支払った。Xは11月20日に退去し、NHKは2016年8月23日にXに対し、支払った受信料のうち、2015年11月分である1,310円の受信料を返金した。

その後Xは、テレビを設置したのは自分ではなくオーナーであるから、Xは放送法64条1項所定の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に当たらない、Xには受信契約を締結する法律上の義務はなく、受信料の支払い義務もない、したがって、受信契約の締結義務者でないXが締結したものであり、強行規定である放送法64条1項という公序に反して無効であると主張して、10月分の受信料1,310円の返還を求めた。

第1審判決は、受信機(テレビ)を据え付ける私法上の権原を有すると考えられるのはのオーナー又はA社であることが推認されるところであり、少なくともテレビを設置したのはXでないことは明らかであると判示して、Xの請求を認容した。

これに対して、NHKが控訴した。

裁判所の判断

「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」とは、受信設備を物理的に設置した者だけでなく、その者から権利の譲渡を受けたり承諾を得たりして、受信設備を占有使用して放送を受信することができる状態にある者も含まれる。NHKが直接費用負担を求めるだけの実質的な関係を有する者、すなわち受信設備により放送を受信することができる状態にある者であることを要し、かつ、それで足りる。

仮に「受信設備を設置した者」に受信設備を物理的に設置した者以外は含まれないと解した場合には、住居がテレビ付きで売却される場合のように、物理的・客観的な状態が変わらないけれども放送受信契約を負う者が交代する事態の説明に窮する。また、いったんテレビが据え付けられたからには、物理的・客観的にテレビが撤去されない限り、最初に放送受信契約締結義務を負った者がいつまでも義務を負うこととなるが、これでは直接費用負担を求めるだけの実質的な関係がなくなった者にまで受信料の負担を負わせることになって、同項の趣旨に反し、相当でない。

「受信設備を設置した者」は、テレビジョン受信機の所有関係とは直接の関係がないものである、として、Xが受信契約に基づき受信料として支払った1,310円は法律上の原因があるから不当利得は成立しないとした。

コメント

マンスリーマンションなど、短期での入居が予定されている契約の場合、水道や光熱費などの使用について、賃借人が契約をするのではなく、賃貸人が契約を結び、家賃と一緒に一定額を請求するなどの処理がなされることもあります。今回のNHKの受信料については、賃借人が受信契約を締結し支払っていますが、この受信料においても、賃貸借契約書において、誰がどのように負担するのかの規定が置かれている場合もありますので、入居の際には、賃貸契約書をしっかりと確認しておくことが必要です。

コラム

~がむしゃら~

昨年の法エール1月号(No.109)のコラムを担当しました。その時の内容は・・・多少抜粋してますが以下のような内容でした。

「平成」と年号が変わった時、私は当時中学校3年生。「平成」に変わった翌日に高校受験の模擬試験を受けに行きました。・・・残り2ヶ月高校受験に向かってがむしゃらにがんばって結果を出したという思い出・・・あれから30年、そして来年は年号が変わります。今年はこの「平成」時代に経験・体験した出来事、そして出会った全ての方々に感謝し、中学3年生の頃のようにがむしゃらにがんばってやりぬく飛躍の年にします!

全てにおいて有言実行ではありませんが、昨年からの結果の1つとして行政書士試験に合格しました!

5月にやってくる「令和」の時代も、掲げた目標を1つ1つ達成できるように、中学3年生のときの「がむしゃら」でがんばります!

龍田事務所 中村 享子

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