法エールVol.119

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ご挨拶

人は誰しも老いていきますが、できれば健康は維持しながら、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリとあの世に行きたいと思います。

これを、ピンピンコロリといって、PPKと略されることもあるそうです。

対義語として、NNKというのがあるそうですが、これは、寝たきりで長く生きる、ネン(N)ネン(N)コロリ(K)の略だそうです。

私も、PPKでありたいと思っていますが、現実はそう簡単にはいきません。40代後半には、膝を痛め、階段の上り下りは結構つらいものがあります。また、今年に入って、左上腕部の痛み続いたので病院に行くと、首のヘルニアであると言われました。

どうすれば、健康を維持できるのか。よく食生活に気を配り、適度な運動を心かげることが必要だといわれます。

確かにそうですね。そして、食欲に基づいてとる食事については、その都度意識することはできます。しかし、習慣化していない運動については、どうでしょうか。

運動以外の目先のことを優先して行ってきたという習慣があり、これはなかなか改善できるものではありません。

そこで、機会があれば、運動以外の手軽な健康法というものをネット等で調べてみようと思っていました。

そう思っていた矢先のこと、ある方から、「羅漢気功(らかんきこう)」というものを紹介されました。

正式名は、「少林内勁十六尊羅漢気功」というのだそうです。この気功は、達磨大使が中国へ禅宗を伝えるためにインドから渡来したとき、福建省・少林寺の僧侶たちが座禅を長時間行ったため心身ともに衰弱しているのを見て、インドで修得した気功を伝授したのが始まりだということです(羅漢気功・かかむみつえ著・現代書林)。

1500年程の歴史がある気功のようです。少し両足を曲げた状態で行いますが、実際にやってみると、いたって簡単でした。

著者は、毎日3時間行っているようですが、私には、そのような時間は取れませんので、空き時間に1~2分程度やるようにしています。

短時間ですが、それでも少しは膝の痛み等は緩和されたようです。夜には行わない方がいい等注意する点もありますが、今の私にはお手頃な健康法となっています。

さまざまな健康法がありますが、自分に合った健康法を長く続けることが大切なようですね。

それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

民法(相続法)の改正について

前回より、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律に関する内容をお伝えしています。今回も、改正の内容についてご紹介します。

1. 自筆証書遺言の方式緩和

現行制度においては、自筆証書遺言(手書きの遺言書)を作成する場合、その内容の「全て」を手書きで作成しなければなりません。

これは、不動産などの財産が多数ある場合などにおいては、その全てを自書することは、相当な負担となります。

そこで、改正後は、遺言書のうち、財産目録をパソコン等で作成したり、不動産の登記事項証明書や、通帳の写しを目録として添付することにより、全てを自書で作成しなくてもよいこととしました。

この財産目録にはそれぞれのページごとに偽造防止のために署名、押印をしなければなりません。

※この規定は平成31年(2019年)1月13日より施行されます。

 

2. 法務局における自筆証書遺言の保管等

これまで多くの場合、自筆証書遺言(手書きの遺言書)については、作成後自宅で保管されています。

遺言を作成した人にしか分からないような場所に保管されていたことにより、遺言書の存在が不明となったり、あるいは、相続人による遺言書の廃棄、隠匿、改ざんなどによる相続人間の紛争が生じるおそれなどの問題が生じていました。

そこで、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることになりました。

作成した遺言書の原本を法務局で保管の申請を行い、実際に相続が発生すると、相続人は法務局に対し、遺言書の閲覧、写しの交付を請求できます。

なお、謄写、写しの交付の請求が相続人の一人からなされると、法務局は他の相続人に対しても、遺言書の保管がなされていたことを通知することになります。

これにより、相続人全員が遺言書の存在を知ることができ、それに基づいた相続手続きの円滑化が期待されます。

しかも、法務局で保管された遺言書については、相続発生後に家庭裁
判所での遺言書の検認(遺言書の現物の確認を家庭裁判所で行うこと)が不要となりますので、相続人の負担も軽減されることになります。

※この規定は2020年7月10日から施行されます。

 

3. 遺言執行者の権限の明確化

遺言者は遺言書によって、遺言の内容を実現させるために手続きを行う遺言執行者を指定することができますが、この遺言執行者が行うことのできる手続きが条文に明示されました。

例えば、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができるとされ、特定の相続人に対し、遺言により特定の預金を相続させる旨の遺言がある場合、遺言執行者が払戻の請求や解約の申し入れを行うことができる等の規定が新設されました。

※この規定は2019年7月1日から施行されます。

 

4. 遺留分制度に関する見直し

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。

遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)は、遺贈又は贈与を受けた者に対して、遺留分減殺請求(侵害された遺留分の請求)を行うことができます。

これは従前からある制度ですが、これまでは、不動産や自社株が特定の相続人に遺贈(または贈与)された場合、遺留分減殺請求権の行使により、直ちに共有状態が生じることになります。

特に自社株の場合は、株が共有状態となり事業承継の支障となることが指摘されていました。

そこで、新制度においては、従来の遺留分減殺請求が廃止され、遺留分侵害額請求権が新設され、例外的にも現物返還を選択できなくなりました。

これにより、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することとなり、不動産や自社株などが当然に共有状態となることを回避することができるようになります。

また、特定の財産を受遺者等に与えたいという遺言者の意思を尊重するこができます。

なお、金銭を直ちに準備できない場合は、受遺者等の請求により、裁判所がその全部または一部の金銭の支払いにつき、相当の期限を許与することができるとの規定も設けられました。

※この規定は2019年7月1日から施行されます。

 

(次号へつづく)

判例紹介

御本尊の写真を無断使用

徳島地方裁判所 平成30年6月20日 判決

事案の概要

原告は四国八十八箇所霊場2番札所・極楽寺、67番札所・大興寺及び四国八十八箇所霊場会が、被告は個人の写真家である。

(1)原告が許可していない御本尊等を写真撮影。撮影が許可されたものについても原告らが許可した条件に反して写真を展示・公開。それらの写真を使用した紙札(御影)、書籍及び商品を製作・販売・頒布した被告写真家の行為は、原告らとの間の撮影許可合意に反し、原告らの宗教的人格権を侵害するものである。

(2)各寺院の名称が付記された紙札(御影)を用いて御影本体又はこれを収録した冊子、額、掛け軸、衝立等を頒布等する被告写真家の行為は、不正競争に該当し、原告らの氏名権を侵害する。

原告らは慰謝料の支払いを求めると共に、(1)の撮影許可合意違反又は宗教的人格権侵害による不法行為に基づき、本件写真の展示・公開、本件写真を使用した紙札(御影)・書籍・商品の頒布の各差し止め並びに写真・ネガ・電子データ、商品等の各廃棄、上記(2) について不正競争防止法第3条又は氏名権侵害の不法行為に基づき、商品等の頒布等の各差し止め及び各廃棄、並びに原告らの名誉・信用回復措置として、謝罪広告の掲載を求めた。

裁判所の判断

請求を一部認容。原告極楽寺及び原告大興寺の宗教上の人格権を侵害する不法行為に該当する。写真の公開等及び各写真を使用した商品等の頒布等の各差し止め並びに各写真の廃棄等を一部認容。

コメント

観光に訪れた先の展示物や、飲食店の料理など、個人が様々な写真を撮りSNSに公開したり、同人誌にまとめ頒布したりといった活動が浸透している現代ですが、一方で“SNS映え”する写真を撮影したいがために迷惑行為をしてしまったニュースも耳にします。

撮影マナー違反が行き過ぎた場合、こうして裁判の場で判断される事態になるのだと学べる事例です。

司法書士日記

今年もプロ野球は閉幕し、私の応援する広島カープは、見事リーグ優勝を果たしました。

そして、今ハラハラしているのが、丸選手のFA移籍の動向です。

丸選手は、去年の年間MVPで、ゴールデングラブ賞を何度も受賞しているような優秀な選手です。

高卒でドラフト3位で広島に入団し、丸選手は広島に育ててもらったという気持ちを強く持っているとのことです。

これまで何度も広島は大物選手をFAで流出させていますが、新井選手や黒田選手のように、広島に戻ってきてくれた選手もいます。

仮に丸選手が一度広島を離れることになっても、また戻ってきてくれると期待して、動向を見守る毎日です。

(薄場事務所 司法書士 井上 勉)

コラム

~ボルダリング~

弟が先月開催された福井国体に山岳部門(ボルダリング・リード)の熊本代表として参加しました。

ボルダリングとはフリークライミングやスポーツクライミングの一種で
最低限の道具(シューズとチョーク)で岩や石、人工の壁面などを登るスポーツです。

学生の頃から自分の部屋の壁にクライミングホールドを取り付けたり、自宅敷地の一角にボルダリングの練習場所を作るくらいの熱の入れようでした。

春から東京本社勤務になったため、練習時間や場所があるかどうか心配しましたが、普段からの練習は欠かさず、時間管理も身についたことでさらなる成長に繋がったようです。

国体で仲間たちとの再会も貴重な時間で、これからもこの競技を続けていく原動力になっているそうです。

夢中になれるスポーツがあることはたいへん幸せなことだと思いました。

清水事務所 大島 文恵

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