法エールVol.33

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ご挨拶

今般、身近に遭った犯罪被害の相談窓口の一つとなる組織が設立されます。名称は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」で、現在認可申請中です。縦覧期間を経た後に、今年12月初旬頃の設立となる予定です。

そして、このNPO法人の設立を記念したイベントが今年12月23日に開催されることが予定されています。講演者は、平成12年の夏に性犯罪被害に遭い、その後、自分の体験を公開し、自分と同じ被害に遭った人の支援に尽力されている小林美佳さんです。著書も出されています。

日常生活の中にある非日常的な出来事を通して、私たちは多くのことを学ぶことができます。もしかしたら、自分の身近な人がこのような被害に遭っているかもしれません。そして、そのような時に、身近に相談できる組織があったとすれば、どんなに心強いでしょうか。

弊法人の取り組みの一つに「犯罪被害者の法的支援」がありますので、このNPO法人を全面的に支援し、より良い社会創りに少しでも寄与できればと思います。設立記念講演については、改めてご案内を差し上げますので、そのときには、皆さんからのご支援もお願いしたいと思っています。

それでは、今月号も宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

任意後見契約等の活用

前回まで、「任意後見契約」と「任意代理契約(財産管理等委任契約)」の利用について紹介しました。今回は、自分が亡くなった後の財産の分配や手続きについて、あらかじめ定めておく「遺言」と「死後の事務の委任契約」について紹介します。

花子さん(70歳)は、3年前に夫がなくなり、子供もいません。今はしっかりしており、自宅で一人で生活していますが、将来自分が認知症になったり、自分で判断することができなくなった時にはどうしたらいいのか不安を抱えて生活しています。花子さんは将来のさまざまな手続きについて、以前からお世話になっている司法書士にお願いしたいと考えています。

 

これが、前回までの事例でした。ではここで、以下の事例を付け加えてみます。

 

花子さんは自分が亡くなった後の自分の財産はどうなるのか、葬儀、お寺への納骨等は誰が行ってくれるのかという不安も抱えています。

このような場合、これまでご紹介した「任意後見契約」や「任意代理契約(財産管理等委任契約)」では対応することはできません。なぜなら、これらの契約は花子さんが生きていることを前提としているからです。

それでは、この様な場合、花子さんとしてはどのような手続きをしておけばよいのでしょうか?

花子さんが亡くなった後の手続きとしては、「遺言」と「死後の事務の委任契約」が考えられます。

 

遺言

花子さんは自分の残した財産を誰にどのように配分するかを遺言により決めておくことができます。

遺言には、「相続(財産処分)に関すること」と「身分に関すること」を記載することができます。

相続(財産処分)に関すること

(例)長男に土地を相続させる。金100万円をお世話になったAさんに遺贈する。預金は○○法人に寄付する。

 

身分に関すること

(例)長男は私のことを虐待していたので相続人から廃除(相続人としての資格を与えないように)したい。私の子供であると認知する。

また、遺言の残し方としては、「自筆証書遺言」又は「公正証書遺言」が一般的です。

 

自筆証書遺言

遺言書の全文、日付及び氏名を手書きで書き、これに印鑑を押印する方法で作成します。誰にも知られずに、また、費用をかけることなく作成することができますが、紛失や偽造の可能性があります。

公正証書遺言

証人2人の立会いの下、公証人が遺言者の口述した内容を筆記し、公正証書で作成します。公証人の手数料等が発生しますが、公証役場に原本が保管されるため、紛失や偽造等の心配はありません。

 

このようにして、花子さんは遺言書を残しておくことにより、自分の財産をどのように配分したいかを決めておくことができます。

(例)私所有の不動産を甥の○○に遺贈する。私の預貯金は社会福祉法人○○会に寄付する。

 

死後の事務の委任契約

遺言書では、財産の分配方法等を決めておくことはできますが、葬儀の方法や納骨について記載しても、それは法的に効力はありません。したがって、遺言とは別に、花子さんは自分の葬儀や納骨等について、将来それらを行ってもらう人と契約をしておくことにより、これらを決めておくことができます。これを「死後の事務の委任契約」といいます。

例えば・・・

(一部)
第○条 通夜及び告別式は○○葬祭で行う。費用は金100万円を上限とする。
第○条 納骨・埋葬は宗教法人○○寺にて行う。永代供養は前項の場所において行う。
    但し、永代供養に関する事務は、前項の寺に依頼することをもって終了する。

この死後の事務の委任契約は、花子さんが亡くなってから委任を受けた人の活動は始まります。また、民法では、花子さんの権利や義務は相続人がいる場合は相続人が承継します。そうすると、相続人が行うべきことと、委任を受けた人の活動が衝突することも考えられます。したがって、この死後の事務の委任契約を締結する際は、司法書士や弁護士などの法律専門家と相談しながら手続き行うことをお勧めします。

これまで3回にわたり、「任意後見契約」「任意代理契約(財産管理等委任契約)」「遺言」「死後の事務の委任契約」について紹介しました。これらの手続きををその方にあった形で選択し、内容を検討し、契約を締結していくことによって、将来の不安に備えておくことができます。これらの手続きの詳細については、当法人までお気軽にお問い合わせください。

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

九州新幹線が全線開通し半年が経過しました。もう何度か利用された方も多いかと思います。私も仕事で何度か利用しており、福岡までの距離もグッと近くなったと実感しているところです。

しかし、先日新幹線を利用して熊本に帰ってきたところ、事件(?)は起こったのです。新幹線のホームから改札口に向かうために、階段を下りていたところ、最後の一段を踏み外し、前から転倒!その瞬間はスローモーション状態。視線は上から下へ・・・。久々に大きく転倒し、膝を強打っ!(あっ、でも特にけがはありませんでした。ラッキー!?)思わず「いったぁ~!!」と声を出してしまったのです。恥ずかしい・・・。

私の激しく崩れ落ちる姿を見た後ろの方(いわゆるギャル系?おっきいサングラスをかけたミニスカートの若い女性)が見るに見かねたのか「大丈夫ですかぁ?」と私の荷物を拾って下さいました。

嬉しかったのと、痛いのと、動揺していたのと、自分でもよくわからない心理状態のまま、満面の笑みで「大丈夫ですっ。ありかとうございますっっ!!」と荷物を受け取り、その場から早く去りたいとの思いで、痛い膝を抱えてまた歩き始めました。

何を言いたかったのかといいますと、九州新幹線はとても便利になりましたが、熊本駅の階段には皆さまご注意を!

(健軍事務所 司法書士 山﨑 順子)

コラム

~ニューカマー~

はじめまして、今年7月から当法人・健軍事務所に勤務している太田博隆(オオタヒロタカ)と申します。周りからは天然ボケと思われているようですが、当の本人はいたって真面目な草食系男子です。

夜は10時に寝て朝は4時に起きる、という健康的過ぎる生活を送っているためか、最近の世情には本当に疎く、リアル浦島太郎状態になりつつあります。首相がドジョウになったらしいことはもちろん、AKB48だとか少女時代、KARAといった韓流アイドルとか全く分かりません。篠田麻里子ちゃん、可愛いですよね…あれ?

とにかく、知的好奇心の固まりで、広く浅くあらゆるジャンルの雑学をかじるのをライフワークとしています。深くないところが玉にキズですが…。政治・経済からIT・科学、果てはアイドルまで、無駄に物知りを目指そうと思っておりますので、どこかでお会いする機会がありましたら、色々と話題を振っていただければ幸いです。

以後よろしくお願いいたします。

(健軍事務所 太田 博隆)

お知らせ

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。

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