無効な遺産分割協議及び遺留分減殺請求権の行使があった場合の真正な登記名義の回復による所有権移転

1 甲の共同相続人乙・X・Y・A・B・C間の遺産分割協議の成立による甲名義から乙名義への相続登記、その後死亡した乙の相続分の指定による乙名義からX・Y名義への相続登記が順次なされたが、右遺産分割協議が無効であり、かつ、乙の他の相続人A・B・Cが乙の相続分の指定に対して遺留分減殺請求権を行使した場合、真正な登記名義の回復を原因としてX・YからA・B・Cに持分の一部移転登記をすることができる。

 

2 甲の共同相続人乙・X・Y・A・B・C間の遺産分割協議の成立による甲名義からX・Y名義への相続登記がされたが、右遺産分割協議が無効であり、かつ、その後死亡した乙がX・Yの相続分を各2分の1と指定したのに対して乙の他の相続人A・B・Cが遺留分減殺請求権を行使した場合、真正な登記名義の回復を原因としてX・YからA・B・Cに持分の一部移転登記をすることができる。

 

3 甲の共同相続人乙・X・Y・A・B・C間の遺産分割協議の成立による甲名義から乙名義への相続登記、その後死亡した乙の相続分の指定による乙名義からX・Y名義への相続登記が順次なされたが、右遺産分割協議が無効であり、かつ、乙の他の相続人A・B・Cが乙の相続分の指定に対して遺留分減殺請求権を行使した場合、X・Y名義からX・Y・A・B・C名義に所有権の更正登記をすることはできない。

 

4 甲の共同相続人乙・X・Y・A・B・C間の遺産分割協議の成立による甲名義からX・Y名義への相続登記がされたが、右遺産分割協議が無効であり、かつ、その後死亡した乙がX・Yの相続分を各2分の1と指定したのに対して乙の他の相続人A・B・Cが遺留分減殺請求権を行使した場合、X・Y名義からX・Y・A・B・C名義に所有権の更正登記をすることはできない。

(平3.11.8、民三第5,667号民事局第三課長回答・先例集追Ⅷ242頁、登研532号99頁〔解説付〕、月報47巻2号82頁)