契約して2ヵ月経過後にクーリング・オフが認められた事例

平成17年11月5日、Cは、Y1ら宅を訪問し、Y2およびDに対し、太陽光発電システム等の販売勧誘をした。同月9日、Cらは、Y1らを訪問し、「太陽光発電システムを取り付ければ、電気代の節約になる、同システムを利用してできた電力を売れば、電力会社から代金が支払われる、電気の売却代金でローン代をほぼ賄える。すべての代金と設置費用の合計額は495万円になる」等との説明をし、見積書を示した。同日、Y2およびDは、申込日を同日、商品の引渡日を同年12月初旬頃、商品(役務)名が太陽光発電システム、オール電化、数量1、役務提供あり、役務に関する別紙明細は無しとの記載がなされ、金額495万円、支払総額617万4419円で、毎月の支払額3万4000円余、平成18年1月から180回払い、保証受託会社をX、売買契約(商品等)の問い合わせ先として、販売店をB、代理店をAとする本件ソーラーローン契約書に自署押印した。

同月11月、XからY1ら宅に、本件立替払契約、本件保証委託契約および本件連帯保証契約の意思確認のための電話があったが、その際、Y1は自宅におらず、CがY1に成り済まして電話に対応をしたとみられる。

同月14、15日頃、Cは、Y1ら宅を訪問し、太陽光発電システムの本見積書を交付するとともに、DはY1の代理人として、日付が同月9日、システム内容を個人住宅用太陽光発電システム、機器代金と取付設置費用の合計額を495万円、工事着工日を同月27日、工事完了日を同月28日、電力会社との連係開始予定日を同年12月28日とし、請負者をAとする工事請負契約書の注文者欄にY1名義の署名、押印をした。

Y2が、同月18日頃、Aの支店に出向き、本件2契約を取りやめると申し入れたところ、Cらは、翌日、Y1ら宅を訪問し、解約を思いとどまるよう説得し、Dは承諾した。

その後工事が行われ、12月より一連の設備の利用ができるようになったが、Y1らは、平成18年1月21日付書面をもって、本件2契約をクーリング・オフした。

 

<裁判所の見解>

本件、工事請負契約書には、①商品代金、役務対価の支払時期 ②クーリング・オフに関する事項 ③担当者 の記載がなく、④虚偽の契約締結日が記載されており、法定の記載事項に不備があるものと認められる。

また、前記事実に加えて、Xからの本件立替契約等に関する意思確認のための電話の際、CがY1に成り済まして対応をしたと見られることや、CらがY2らに対し、ソーラーシステム等の具体的内容の説明が不十分だったなど、Aの取引方法にも問題があると認められることを総合すれば、クーリング・オフの期間は進行せず、本件クーリング・オフの意思表示は有効と解するのが相当である。

 

<解説>

本件は、書面受領日から8日間とされている訪問販売におけるクーリング・オフについて、契約から2ヶ月経過、さらに工事完了後に、契約書面の不備により、クーリング・オフを認めたものです。

 

※クーリング・オフとは、訪問販売などの一定の取引については、一定期間内であれば、消費者から一方的に契約を解消できる制度です。

クーリング・オフができる期間は、不備のない有効な契約書を受け取った日を1日目として計算し、8日~20日以内(取引内容によって異なります)であることが原則です。