自筆証書遺言書の破棄

最判平成27年11月20日は、遺言者が自筆証書遺言である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するとして遺言を撤回したものとみなすとしました。

上記判決は、遺言者が自筆証書遺言である遺言書に故意に斜線を引く行為はその斜線を引いた後になお元の文字が判読できる場合であってもその斜線が赤色ボールペンで上記遺言書の文面全体の左上から右下にかけて引かれているという判示の事実関係の下においては、その行為の一般的な意味に照らして上記遺言書の全体を不要のものとし、そこの記載された遺言のすべての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であり、民法1024条の前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し、遺言を撤回したものとみなしました。