セクハラ・パワハラ

(京都地方裁判所平成18年4月27日(平成17年(ワ)第761号))

 

<事件の概要>

女子社員Aの主張によると、会社の上司Bは、平成16年5月ごろより、勤務時間中、Aに「おはよう」、「調子どうや」などと言いながらAの肩、髪、背中を撫でるといった身体的接触を頻繁に続けた。また会社の食事会で、Aの股や太ももあたりを撫で回したり、自分の足をAの足に乗せようとしたり、また、その際、「単身赴任は寂しいものよ。」「家で待っている愛人が欲しい。」などと言った。(他にもAに対するセクハラ行為があった。)

なお、Bから上記のような被害を受けたAは、同年末の会社における部長、課長に関するアンケートでBからの上記被害について申告をしたが、会社では取り上げられず、適切な調査・措置をとられず、セクシャルハラスメントが継続的に発生する劣悪な職場環境を放置していた。

その後は、Bは、Aに対し、必ずしもAが退職をしなければならないような事由(言動)がなかったにもかかわらず、Aに対し、少なくとも、「君の悪い噂がぽっぽっぽっと出てるぞ。ここにいられなくなるぞ。」などとAに対して圧力をかけ、Aに退職を迫った。

Aは「セクハラが原因の抑うつ状態」との記載のある診断書を提出し、出社することができなくなった。

AはB及び会社に対し、350万円(慰謝料300万円、弁護士費用50万円)の損害賠償の請求をした。

 

<判決の要旨>

BのAに対するセクシャルハラスメントなどにより認定した精神的、身体的症状の発生、程度、その期間を踏まえると(慰謝料として)100万円とするのが相当である。また、Bの同行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当の損害であるが、上記損害の内容、認容額を踏まえると、10万円とするのが相当であるとして、B及び会社に対し、連帯して支払いを命じた。

 

<解説>

最近は企業もセクハラ、パワハラについて問題であるという認識が一般的になっているかと思います。さらに、会社には社員が仕事に集中できるような環境を整えるための適切な調査・措置を取らなくてはならないようです。

職場の人間関係はもちろん大事ですが、コミュニケーションの取り方も注意が必要です。