コンタクトレンズ説明義務違反事件

(大阪地裁堺支部平成14年7月10日判決)

 

<事件の概要>

患者Kさん(当時22歳の女性)は、コンタクトレンズの購入のためA社経営のコンタクトレンズ販売店(以下、A店という)を訪れ、同店の指示で、同社が業務提携しているB眼科において、B医師のよる視力検査等と受けた。

Kさんは、ソフトコンタクトレンズを購入した。その際、B医師及びA店従業員は、コンタクトレンズが、蛋白質等の汚れが付着するものであるにも拘らず、Kさんに対し、蛋白質除去の必要性につき、説明及び告知をしなかった。

その後、B眼科における定期検診において、左右両眼の視力が低下していたことから、より度数の強い新たなコンタクトレンズを受け取った。

しかし、その後も眼の痛みや違和感を感じたKさんは、B眼科において再び診察を受けたが、B医師は、抗炎症剤の点眼薬を処方しただけで抗生物質などの処方は行わなかった。

その後、Kさんは他の眼科を受診し、左眼の角膜混濁と視力低下の進行が発覚し、視力障害の後遺症が生じた。そこで、Kさんは、A社及びB医師に対して、約800万円の損害賠償を請求した。

 

<判決の要旨>

①A社及びB医師については、コンタクトレンズの蛋白質除去の必要性についての告知・説明義務違反、②B医師については、眼科医師の治療上の過失を認め、A社及びB医師に対して、約425万円の不法行為による損害賠償金の支払いを命じた。

 

<解説>

専門知識のない患者の立場としては、医師の言葉を信じるより他はないのですから、告知・説明義務及び治療義務を怠ったB医師の責任は重いと思います。診察結果や治療方法に違和感を感じたら、早めに別の医師にセカンド・オピニオンを求めるのも1つの方法ですね。