法エールVol.113

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ご挨拶

今年も、ゴールデンウィークも終わりましたが、皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。

さて、震災から2年が経ちますが、報道によりますと、仮設住宅で過ごされている方が、3万人を超えており、まだまだ震災の傷跡は癒されたとは言えません。しかし、緊張感をもって過ごされている日常から解放され、少しは自分なりの楽しみ方をされた方もおられたのではないでしょうか。私も自分なりの楽しみ方で過ごすために、この期間をもう少し見直してみたいと思います。

ところで、5月は、司法書士試験の受験申込がある時期です。当法人の正社員さんは、全員この試験を受けますが、仕事をしながらのチャレンジですので、時間の確保が重要です。以前、ある人から、資格試験合格のコツは、コツコツやることだと聞いたことがありますが、まさにその通りです。「急がば回れ」ともあるように、多少時間がかかっても、やるべきことを確実に実践してみることが大切ですね。

また、今月は、司法試験や予備試験(短答試験)の開催月でもあります。司法試験は、中1日休みを除き4日間連続で、論文試験(7科目)と短答試験(3科目)が行われます。予備試験は、今月、短答試験(一般教養科目を含め8科目)が行われ、7月に論文試験、10月に口頭試験が行われます。

こちらも超難関な試験ですが、司法試験は、受験回数の制限があるため、司法書士試験の対応とは要領が異なり、その回数内に合格できなかった人は、自らの命を絶つ人もいるとのことです。厳しい現実ではありますが、法律関係の資格は、司法書士を始め、ほかにもいくつかありますので、これまでの受験経験等を活かす仕事への転身も一考できる環境が必要であるとも思います。

一生一度の人生、思い通りにはいかないことも多いですね。「苦がその人を鍛えあげる磨きあげる本ものにする」(致知2018・4月号)との言葉もあります。今があることに感謝しながら、悔いのない人生を歩んでいきたいものです。

それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

遺産承継業務(相続財産の管理や処分業務)について

司法書士による遺産承継業務(相続財産の管理や処分業務)について、先月から3回にわたり、遺産承継業務についてお伝えしています。第2回目は、司法書士に遺産承継業務を依頼するメリットや注意事項についてです。

<司法書士に依頼するメリット>

相続の手続きについては、次に記載しているように非常に煩雑なケースがあり、相続人がご自身で行うのは、困難なこともあります。特に金融機関等は、相続人全員からの署名捺印を求める書類が多く、相続人が多い方などは、この点においても相続人の数だけ手続きが増えることになります。そこで、司法書士に依頼し、司法書士が相続人全員の代理人として金融機関などほぼ全ての手続きを代わりに行うことで、相続人の方々の負担が大幅に軽減されるだけでなく、登記手続きの専門家として、相続登記手続きも円滑に行います。ここに、司法書士に依頼するメリットがあります。

~遺産承継業務が利用されることが多いケース

  • 相続人が多いので取りまとめることが難しい場合
  • 相続人が高齢で、移動や書類の整理等が困難な場合
  • 相続人が疎遠であり、連絡を取りにくい場合
  • 不動産を売却して、現金で相続人に分ける場合
  • 相続人の一部が認知症等により、後見人の申立て等の必要がある場合
  • 相続財産の種類が多く、財産の把握が難しい場合
  • 相続人の居住地が海外であったり、行方不明である場合

<注意事項について>

上記のケースのように案件によって手続き内容が大きく異なり、種類も様々です。遺産承継業務は、時間がかかることもあり、案件によっては数年かかる場合もあります。お時間がかかりそうな場合を含め、定期的に報告するようにしています。

また、遺産承継業務を受任した司法書士は、相続人全員に公平に対応する必要があります。そのため、業務の受任後に遺産分割協議が整わないなど紛争を生じた場合には、この紛争の解決を図るような業務(遺産分割調停等)をすることができません。そこで、紛争を回避することが難しいと認められる事情がある場合には、業務の処理途中であってもやむを得ず辞任する場合があります。また、当法人は今まで多くの遺産承継業務のご依頼をいただいており、大切な財産の管理・処分を安心してお任せいただけるかと存じます。

来月は、手続きの流れについてお伝えしていきます。

判例紹介

NHKとの放送受信契約の成立時期、受信料支払義務の発生時期と消滅時効の起算点

最高裁大法廷 平成29年12月6日 判決《平成26年(オ)第1130号》

事案の概要

X(NHK:日本放送協会) Y(消費者)

Yは、2006年3月22日以降、その住居に、Xの衛星放送が受信可能なテレビ受信設備を設置している。Xは、2011年9月21日到達の書面により、Yに対してXの受信契約の申込みをしたが、Yは承諾をしなかった。

そのためXはYに対し、1.放送法64条1項により、受信契約の申込みがYに到達した時点で受信契約が成立し、受信設備設置時から受信料支払義務が認められると主張して、受信設備設置の月の翌月から2014年1月分までの受信料合計約22万円の支払い、2.Yは受信契約の締結義務の履行を遅滞しており、債務不履行に基づく損害賠償、3.YはXからの受信契約の申込みを承諾する義務があるため、当該承諾の意思表示をするよう求めるとともに、受信料支払義務が受信設備設置時に遡るとして、受信契約に基づく受信料の支払い、4.Yは受信契約を締結しないことで、法律上の原因なく受信料相当額を利得しており不当利得返還請求として同額の支払いの請求(なお、2~4は1が認められない場合の請求)を行った。

これに対してYは契約締結義務を争うとともに、もしこれが認められないとしても、承諾の意思表示を命ずる判決により初めて契約は成立し、その時点で受信料支払義務は成立すると主張。仮に受信設備設置から受信料支払義務が成立するとしても、既に5年を経過した分については消滅時効が完成していると主張。

裁判所の判断

最高裁は、次のように判断し、各上告を棄却した。

放送法64条1項は、受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定である。Xからの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、Xがその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決が確定することによって受信契約が成立する。

受信料は、受信設備設置者から広く公平に徴収されるべきものである。同じ時期に受信設備を設置しながら、放送法64条1項に従い設置後速やかに受信契約を締結した者と、その締結を遅延した者との間で、支払うべき受信料の範囲に差異が生ずるのは公平とは言えないから、受信契
約の成立によって受信設備の設置の月からの受信料債権が生ずるものとする放送受信規約5条は、受信設備設置者間の公平を図るうえで必要かつ合理的であり、放送法の目的に沿う。受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合、同契約に基づき、受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。また、この受信料債権の消滅時効は、受信契約成立時から進行する。

コメント

過去の下級審裁判所は放送法64条1項について法的義務と解し、強制による契約の成立を認めてきました。本判決はこれを最高裁が確認したものです(強制による契約の成立のためには、必ず消費者に対して承諾を命ずる判決が必要であるとしています。)。契約が成立すると、受信料支払義務についても、受信設備設置時に遡って発生すると判断され、さらに、過去の受信料の消滅時効の起算点については、契約が成立した時(承諾に代わる判決がなされた時)に初めて受信料債権がひとまとめに成立し請求できるようになることから、その時点から時効が起算されるとしました。

この判決をきっかけとして、受信契約が増加したとの報道もなされています。また、受信料の徴収方法に関するトラブルの声なども話題になることもあります。受信契約の仕組みや受信料の使われ方など、もっと国民的関心事となれば良いですね。

司法書士日記

次男も2歳になり、イヤイヤ期に突入しました。今朝は、ご機嫌がすこぶる悪く、早朝からお殿様ぶりを発揮する次男。朝六時に「バナナ食べた~い」と泣き叫び目覚める息子。バナナの皮を半分むいて差し出したところ「自分でむくだった~」と再度号泣。新しいバナナを与えると泣き止み、バナナの皮を自分でむきながら、皮を私の手に載せてご満悦♪なのも束の間…むき終わった途端「自分でむくだった~ママがむいた~」と号泣する息子。「え!!!いま自分でむいたでしょう」と反論するも、私の手の上にあるバナナの皮を指さし「ママがむいた~」の一点張り。

ア●パンマンのDVDでなんとかご機嫌をとりました♪ありがとう、ア●パンマン。

(龍田事務所 司法書士 野口 芽久美)

コラム

~二刀流~

今、日本中の特に男性は、MLBで活躍する大谷翔平選手が気になってしょうがないと思う。5 月23日現在、打者としては打率3割1厘、6本塁打、17打点、投手としては4勝1敗、防御率3.35、なんと奪三振は52。信じられないような記録をだし続けている。

どちらか一つ大成するのも凄いことなのに、大谷選手はしかも足も速く打撃の飛距離ももの凄い。野球をするために生まれてきたのかもしれない。プレイすることで人を感動させ、勇気づけ、希望を与え続ける・・素晴らしい仕事をされてると思います。

今年還暦を迎える私も何か一つでもいいから80歳までには、人を感動させるような仕事をしたいと思う・・今日この頃です。

(健軍事務所 橋本 律哉)

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