事業承継①

1.事業承継とは

「将来は長男に事業を継がせたいが、どのような手続きをすればいいんだろう」
「兄弟の仲が悪く、これから会社で何か問題が起こるかもしれない」
「後継者がいないので今後のことが心配」

等々事業に関する悩みは尽きることがありません。実際に問題が起こってから対処することもあるとは思います。しかし、今からでも対策を講じることができるのであれば、将来への不安を回避することができるのではないでしょうか。

最近、後継者不足や経営者の高齢化により、事業承継の問題が表明化してきました。事業承継のセミナー等も多数行われ、経営者の皆様の関心も高いように感じます。国も事業承継対策のために、平成20年5月に、経営承継円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)を成立させ、本年4月に経営承継円滑化法改正施行規則、改正税法などが施行されました。事業承継は、経営承継円滑化法、会社法、民法、税法等の知識を使いながら、人、モノ、金等の経営資源を次世代に承継していくものです。

2.価値観・理念の共有

事業承継にとって重要なことは、価値観・理念を全社員で共有することではないかと思います。創業から何十年もの間事業をしている企業は、企業の価値観・理念がしっかりしています。そして、それを後継者が引き継ぎ、浸透させています。そこから健全なる社風・企業文化が生まれ、地域社会に根差した企業になっているように感じます。

後継者の育成を計画的に行っている企業は、後継者に創業の精神や企業の価値観・理念の重要性を説き、これを理解してもらうことから始めているところが多いようです。

3.事業承継計画

事業承継対策では、自社株をどうするかが問題となります。現経営者が100%自社株を持っている場合は、相続人(場合によっては第三者)へどのようにわけるかが問題となり、自社株が分散している場合は、自社株を誰かに集中させたり、種類株式を使う等の対策が必要になります。(具体的な手続き説明は次回以降させていただきます。)

非上場の自社株は、相続税評価額が意外に高いため、事前に対策を取らなければ後で大変な事態となることがあります。

そのため、事業承継においては、きちんとした計画をたてることが重要になります。後継者にいつの時点で代表権を譲り、自社株等の財産を誰にいつの時点で分けるか、後継者がいない場合に会社の譲渡先をどうするか等々、節税対策を含め総合的に決めていきます。そして、その計画を実行に移すことになります。

次回から、具体的な事業承継の方法について説明させていただきます。御社に適した事業承継計画を作成する一助になれば幸いです。