業務執行権に基づき 業務妨害行為の差止めを認めたもの

東京高等裁判所 平成20年7月1日決定:平成20年(ラ)第181号

事件の内容

損害保険会社Aが、顧客Bとの間で自動車事故に基づく保険金交渉をしていましたが、交渉途中にBは、Aの社員に対して多数回、長時間にわたる電話等で嫌がらせをし、業務の邪魔をしました。そこで、AはBに対して、Aの委任した弁護士を交渉窓口とするように通知しましたが、Bはそれまでと同様にAに嫌がらせを続けました。そのため、Aは業務に支障が生じたとして、Bに対して業務妨害禁止を求めた仮処分命令の申立をしたというものです。

決定の内容

当該行為が権利行使としての相当性を超え、法人の資産の本来予定された利用を著しく害し、かつ、従業員に受忍限度を超える困惑・不快を与え、業務に及ぼす支障の程度が著しく、事後的な損害賠償では当該法人に回復の困難な重大な損害が発生すると認められる場合には、差止めを認めることができる。