相続 手続き③

今回は遺産分割協議、遺産分割の調停・審判を説明いたします。

 

遺産分割の流れ

1.相続人の確定

相続人を確定するには、死亡した人の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書等を取得し相続関係を調査します。

 

2.遺産の範囲と評価の確定

不動産、預貯金、有価証券等被相続人が死亡時に有していた財産を確定させる必要があります。

 

3.遺産分割協議

1から2を確定させ、相続人全員で遺産分割協議を行います。相続人の一人でも欠けた場合は協議は無効となります(相続人の中で行方不明者や未成年がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人や特別代理人の選定をしてもらい、それらの者が遺産分割協議に参加することになります。これらの選任がなされずにされた財産分割協議も無効となります。)また、特別受益(被相続人から生前あるいは遺言によって贈与を受けた相続人の利益)、寄与分(被相続人の財産の維持・増加への特別な寄与をした相続人に対し、本来の相続分より多く相続させることができる)がある場合はそれを考慮します。
遺産分割の方法としては…

  1. 現物分割 …そのままの状態で分ける
  2. 代償分割 …共同相続人の一部が遺産を相続し、その相続人から相続財産をもらえなかった他の相続人に現金等を代わりに支払う
  3. 換価分割 …遺産の全部または一部を換価して分ける
  4. 共有分割 …個々の遺産を共同相続人の共有とする

があります。どの方法で分割するか、また一部は現物分割でその他は代償分割で行うなど、その方法は自由です。
ここで無事に相続人全員において解決できればよいのですが、万が一協議が整わない場合は家庭裁判所に申立をすることができます(民法第907条第2項)。家庭裁判所では法定相続を基準としているようですが、相続人の様々な事情を勘案してもいるようです。

 

4.家庭裁判所による調停

相続人間で協議が進まない場合、家庭裁判所に調停の申立をすることが出来ます。調停の申立は相手方(申立人以外の共同相続人等)の住所地の家庭裁判所または当事者の合意で定めた家庭裁判所になります(家審規第129条第1項)。

 

5.家庭裁判所による審判

家庭裁判所での話し合い(調停)が不成立になった場合には審判手続に移行します(家審第26条)。裁判官が当事者の事情、法律関係等を考慮して審判することになります。

 

6.不服申立

審判に不服があるときは2週間以内に高等裁判所に不服申立(「即時抗告」)、更に不服があるときは最高裁判所に不服申立をすることができます(「特別抗告」「許可抗告」)。

以上が遺産分割の流れの概要になりますが、家庭裁判所の調停手続による遺産分割協議となれば、相当の時間と労力と費用がかかることがあります。できれば亡き家族を思い、相続人間で穏便に協議できればよいですね。

司法書士は、家庭裁判所に提出する書類の作成を行うことができます。したがって、これまで説明した遺産分割を行うための調停手続について、「遺産分割調停申立書」を作成することができます。また、遺産分割だけでなく、離婚や財産分与、養育費の請求、成年後見人の選任などに関する申立書類も作成することができます。