DV 被害者 から 供託物払渡請求書 の住所等の 秘匿 にかかる申し出があった場合

一時期、配偶者に対する暴力(以下「DV」といいます)の加害者が、行政機関等から被害者の住所等を突き止めて更なる危害を加える事件が相次いでいました。そのため、様々な行政機関でDV被害者に対して配慮がなされるようになりました。

司法書士は、裁判書類作成を行いますが、そこでも住所等の記載に配慮が必要な場合があります。

事案で説明します。

DV被害を受けた女性が、配偶者と離婚し養育費の定めをしました。しかし、元夫が養育費を支払わないので、給与差押さえをすることにしました。通常の差押えであれば、女性の現在の住所を申立書に記載するのですが、それでは、元夫に住所がわかってしまいます。そのため、DVであるということを裁判所に申し出ることにより、現住所を秘匿することができます。

その後、給与差押えをしたことにより、元夫の雇用主は、給与の一部を女性に支払うことになりますが、支払を直接女性に支払うのではなく、法務局に供託する場合があります。その場合、払渡請求を女性は供託所に対して行うことになります。しかし、払渡請求も女性の住所を記載することになるので、現住所を記載したのでは、元夫に知られてしまいます。そのため、供託官も裁判所と同様に、マスキング措置を講ずるなどして、住所を秘匿することができます。

少しずつではありますが、DV被害への配慮が広がっております。