取締役の責任

最高裁第二小法廷平成20年1月28日判決

株式会社の取締役は、業務を怠り会社に損害を与えた場合には、会社に対してその損害を賠償しなければなりません。

この判決は、平成9年に経営破たんした北海道拓殖銀行の取締役が損害賠償請求を受けた事件で、その損害賠償請求権の消滅時効が5年なのか10年なのかが主な争点となりました。

最高裁の判断は、損害賠償請求権は10年で時効消滅するという、取締役にとって不利な判決となりました。しかし、会社内部の事情は外部にはなかなかわからないこと等を考慮すると、妥当な判決であったといえます。

最近、取締役が訴えられるケースが増えているようです。破綻した後に役員に経営責任を問うというのは、ある意味当たり前のことですが、一生懸命に経営をしてきたうえに、このような請求をされたのでは、取締役としては何ともいえない気持ちになります。

会社としては、重要案件については書面で記録を残しておく等、業務を過失なく行っていたということを立証する証拠を、常に意識して残しておくようにすることが大切になってきます。