法エールVol.55

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ご挨拶

皆さんは、終活という言葉をご存知でしょうか。5月号でも少し触れましたが、終活とは、自分の人生の終末のためにする活動のことです。就職活動が「就活」と略されるのと同種の造語として、徐々にこの言葉と活動が広まりつつあるようです。

先般、6月26日にも新都心プラザにおいて、「くまもと終活セミナー」が開催されました。このセミナーの第一部として、「終活」という言葉を世に送り出したとされる一般社団法人終活カウンセラー協会の理事長武藤頼胡(むとうよりこ)氏より、「なぜエンディングノートが必要なのか?~役割と効果~ 」と題して終活の具体的な活動内容についての講演がありました。そして、第2部として、「終活は何を与えてくれるのか? 」をテーマにしたパネルディスカッションがありました。私も、パネラーの一人として、「遺言」「成年後見制度」等法的視点での「終活」の在り方について登壇し、話をさせていただきました。

当日は、あいにくの雨にも関わらず約150名程の参会者があり、誰でも迎える人生の終焉に向き合う意識の高さを感じました。

人間として生まれ授かった命を輝かせ、次の世代へのメッセージとして引き継がれることで、より良い社会が創造できればと思います。

今後は、前記協会が実施している試験に合格し、終活カウンセラーとして、終活の取り組みを実践し、超高齢化社会の中で、少しでもお役にたてればと思います。

それでは、今月号もよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

ペットに財産を遺すには!?(ペットに遺言を遺そう!)

人は、生まれながらにして法律上の権利義務の主体となることができる「権利能力」というものを有していますが、動物にはその権利能力がありません。つまり、契約などの法律行為ができないということです。私たち人間と同じように家族同然に暮らしているペットに、財産を遺したりすることはできないのです。

遺言書に「私の全財産はペットのポチに渡します」という遺言を遺しても効力は発生しません。しかし、遺言者が亡くなった後も、「ポチに好きな餌をあげてほしい、定期的にペットサロンに連れて行ってあげてほしい、そのためにお金を遺してあげたい」という場合は、以下のような方法があります。

負担付遺贈をしよう!

ペットに直接財産を遺せないのなら、間接的に遺しましょう。負担付遺贈とは、負担(義務)をつけて、財産を遺すという方法です。いくつか遺言例をご紹介します。

 

<遺言例1>

第1条 遺言者は、遺言者の下記財産を遺言者の友人A (住所生年月日) に遺贈する。

  1. ○○銀行○○支店の遺言者名義の預金全部
  2. 遺言者の愛犬ルイ(チワワメス)

第2条 Aは、上記遺贈を受ける負担として、遺言者の死亡後、遺言者の愛犬ルイの世話を誠実に行うこととし、愛犬ルイが死亡した場合には適当な方法で埋葬・供養しなければならない。

 

<遺言例2>

第1条 遺言者は、遺言者の知人A(住所生年月日) に対し、遺言者の飼猫ミー(アメリカンショートヘア) と遺言者の有する預貯金の中から500万円を、遺言者の飼猫ミーを終生愛情を持って飼育すること及びミーの死後は、ペット霊園△△(所在)に手厚く葬ることを条件として遺贈する。

第2条 ミーが遺言者より先に死亡した場合には、預貯金500万円を遺贈しないこととする。

 

もし義務を履行してくれないときは??

遺言書の中には、お散歩の頻度や食事の回数などを具体的に記すことができます。

もし、内容通りに世話をしてくれていない場合や、世話の仕方があまりにもひどい場合は、相続人は遺言を取り消すこともできます。

・負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しない
・相続人は、相当の期間を定めて履行の催告
・期間内に履行がないとき…

負担付遺贈に係る遺言の取り消しを家庭裁判所に請求できる( 民法1027条)

 

遺言執行者を定めておこう!

遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実行する者のことです。遺言執行者を定めているときは、遺言執行者も遺贈の取り消しを請求することができます。相続人に迷惑をかけたくない、身寄りがいらっしゃらないという場合は、必ず、遺言執行者を遺言の中で定めておくことをお勧めします。遺言執行者は、未成年や破産者以外は誰でも指定することは可能ですが、できれば法律に詳しい専門家であり、利害関係のない第三者である司法書士、弁護士などに依頼されることをお勧めします。

 

遺言書を作成する前に!

ペットの遺贈の場合は、受贈者( ペットと財産をもらう人) が引き受ける意思があるかどうかを確認しておきべきです。万が一、受贈者がペットの世話を嫌がり遺贈を辞退した場合は、ペットの所有者が定まらない可能性が高く、遺言者の意思が実現されなくなる恐れがあります。

コラム

氷菓子

「後で氷菓子食べよう。」

と聞き慣れないフレーズをいとこの家で聞きました。なんのことやらと思いつつ、後で話を聞くと、いとこの子ども(当時小学生)はアイスという言葉にやたらと過敏に反応するらしく、家の中では「アイス」のことを「氷菓子」と呼ぶのが鉄則になっているとのこと。

当時は「氷菓子」と呼ぶだけで反応しなくなる子供の単純さを笑っていましたが、今はそういう子供の純粋さに心なごみます。ずいぶん昔の話で、夏になると思いだすのですが、その子も今は大学生です。

健軍事務所 宅野 洋史

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