法エールVol.35

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ご挨拶

平成23年11月1日、新たに龍田事務所を開設し、本部機能を清水事務所から移動いたしました。

そして、清水事務所は、従たる事務所として存続し、今後当法人は4事務所体制で身近な法律家としての役割を果たしていくことになります。

新しい事務所の場所は通称北バイパス沿いにあり、県立熊本北高校南側のキンケイファームビルの1階になります。

これまでの事務所と比較にならない位に広い事務所で多少の戸惑いもありますが、これまで同様、より良い法的サービスを提供するために「人間学」に基づく日常の取り組みを大切にし、「積小為大」の精神で頑張っていきます。

尚、新事務所の所長には、佐藤芽久美司法書士が就任いたしました。

皆様におかれましては、これまで同様よろしくお願いいたします。

それでは、今月号も宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

競売と任意売却

前回は、競売と任意売却の概要について紹介いたしましたが、今回は「競売」について少し詳しく説明します。

説明にあたり、前回の事例を振り返ってみましょう。

AさんがB銀行から1,000万円借りるとします。もちろんB銀行も無条件ではなく、後日返済してもらえる保証をもらわなければ、不安で貸すことはできません。そこで、Aさんは所有する住宅をB銀行に担保として差し出すことにします。

がんばって毎月返済を行っていたAさんですが、ある時から不景気のあおりを受けて収入が減ってしまい、返済が滞るようになってしまいました。

B銀行はAさんがこれ以上支払いができないと判断すると、裁判所へ申立を行いAさんの有する不動産を売却し、その代金から貸したお金の回収を図ろうとします。

1. 不動産競売の手続きの流れ

競売手続は、①B銀行(債権者)の裁判所への申立て→ ②裁判所による開始決定・差押の登記→ ③執行官による現況の調査、評価人による不動産評価→ ④裁判による売却基準価額の決定→ ⑤売却不動産の公告等→ ⑥執行官による売却の実施→ ⑦裁判所の売却許可決定→ ⑧代金納付(買受人Cさんの所有権取得) → ⑨売却代金のB銀行等への配当実施というのが大きな流れです。

2. 競売物件の買受けの手続き

かつて競売不動産に落札しようとするのは一部の不動産業者で、一般の方が参加することはほとんどありませんでした。しかし、期間入札(一定期間に入札者を募り、後日、開札すること)という競売方法が導入されたことにより、一般の方が入札に参加しやすくなったようです。

ただ、競売により取得した不動産等に欠陥があったとしても、契約の解除や損害賠償を請求することができません。また、不動産の調査は自分で行わなければならない、物件情報の提供期間が短い、最低でも裁判所が決めた売却基準価額の10分の2を原則とした保証金(自己資金)を用意しておく必要がある、もし取得した不動産に占有者がいた場合に、その退去についても取得した人が対応しなければならないなどデメリットが多く、競売での不動産購入は自己責任ということになります。

以上のようなデメリットを少しでも解消するために各種の制度が用意されています。以下、この点につき若干の説明します。

①まず、裁判所が提供する、いわゆる「3点セット」と言われるものです。一般の不動産取引にいうところの「重要事項説明書」にあたります。「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」と呼ばれるものです。これらにより、ある程度の物件の情報を入手することはできます。

「現況調査報告書」とは、裁判所の執行官が実際に現地に赴き対象物件の形状、占有関係などを調査し、その結果をまとめた書面です。

「評価書」は、評価人(多くは不動産鑑定士)が、対象物件を調査し、その評価と評価の過程をまとめた書面です。この内容が売却基準価額の根拠となります。

「物件明細書」は、「現況調査報告書」「評価書」をベースにして、裁判所の書記官が、裁判所の判断として売却の条件を書いた書面です。この書面には、買受人が負担することとなる他人の権利(例えば、土地を借りて建物を建て住んでいる賃借人がいる場合)等、買受を希望する人にとって、入札に参加するかどうかの決め手となる重要情報が記載されていますので、最大の判断材料となります。

なお、以上の3点セットは、BITという不動産競売物件情報サイトから無料でダウンロードできます。

②次に、買受人Cさんが代金を納付して競売不動産の所有権を取得したあと、不法に占有を続ける者がいて、立退き交渉しても立退かない場合には、裁判所から「引渡命令」というものを出してもらい、強制的に立ち退かせることができます。

ただ、この場合、荷物などの量にもよりますが、運送業者を使うと、強制執行費用がかなりかかります。この費用は、本来、不法に占有していた人に請求できるものではありますが、実際は回収は困難ですので、買受人Cさんにおいて費用負担を覚悟する必要があるようです。

このように、裁判所の競売手続きによって不動産を買い受けようとする場合には、より慎重な対応が必要になってくるでしょう。

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

先日、清水事務所・N司法書士の結婚式に出席させて頂きました。

自身の経験から申し上げれば、結婚式というのは自分に係って頂いた全ての人々に素直に「感謝」できる日だと思います。

また、その「感謝の共有」が幸福な時間を演出するのだろうと思います。

一方で、結婚して早や5年目を迎える私自身にとって結婚式は「原点」を見つめ直す機会となっております。

N司法書士の結婚式が始まるまで、そのようなことをぼんやりと考えておりました。

しかし、実際に結婚式が始まってみると、自分のなかにこれまでとは「違う感情」が生まれているのに気付きました。

それは「親」の立場で参加する自分がいたということです。

私には2歳半になる娘がいますが、よく考えれば娘が生まれてからは初めての結婚式でした。

娘が生まれるまでは完全に第三者として結婚式に参加しておりましたが、今回は「花嫁」様を自然と愛娘になぞっている自分がいました。

「初めて歩いた時はあんな表情だったなぁ」「保育園に迎えに行った時はあんな表情だったなぁ」等等。

N司法書士の結婚式では「過去」を見つめ直すというよりはいつか来るであろう「将来」に思いを馳せ、だからこそ娘との「現在」を大事にしようとの決意を新たにしました。

以上、取り留めのない投稿になってしまいましたが、このような大切なことに「気づく」機会を与えて頂いたN司法書士に感謝するとともに、末永いお幸せをお祈り申し上げます。

(清水事務所 司法書士 村坂 佳代子)

コラム

~備えあれば憂いなし~

コインパーキングでの出来事。

出口にて精算をするかたちだったので、車に乗って出口に並んでいました。

次は私の番だというときに、あることに気がつきました。

「小銭も千円札もない!!」

私の後ろにはたくさんの車が並んでいます。

車をよけるスペースもありません。

「ひぇ~!どうしよ~!」

焦りましたが、ラッキーなことに私の前でちょうど精算をしていたのが同じ事務所の北里さんだったので、北里さんの車に駆け寄り千円札を借りることができました。

「ふぅ~、ひと安心」

車に戻って、さあ精算というときにまた「ひぇ~!」なことが・・・。

今度は駐車券が見当たりません!さっきまであったのに!!

後ろにはたくさんの車。

どこを探してもない駐車券。

泣きそうになりながら見つけた『駐車券を紛失した方はこちら』のボタン。

「あ~よかった。悪いことは続かないよね。」とボタンを押して出てきたのは『駐車料金5千円』の表示。

三回目の「ひぇ~!!」です。

これはもったいないと、震える手でもう一度シートとドアの間を探ってみたら、ありました、駐車券。

逃げるようにパーキングから脱出したのは言うまでもありません。

(薄場事務所 小川 梓)

お知らせ

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。

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