法エールVol.23

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ご挨拶

先般、ある方から挨拶の仕方について教えていただきました。

例えば、自分の歩いている方向と、反対側から歩いて来る日頃あまり親しくない年上の人とすれ違うことになったときの応対です。

皆さんは、どのようにされますか。

一番最低の応対から並べていきますと、「無視する」→「歩きながら会釈をする」→「立ち止まって会釈をする」で、一番良い応対が「相手に歩み寄り立ち止まって会釈をする」という行動をとることだそうです。

これを行うことで相手方からその後も記憶に残るほど好感がもたれるようです。

なるほど、相手に近づくという態度とその態度にわずかながらも時間をかけるということが、相手との心理的な距離をグット縮めることになるのでしょうね。

いい話を聞かせていただきました。早速、実践したいと思います。

それでは、今月号も宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

相続イロハ

前回は相続人と相続分について説明しました。

今回は、事例をもとに相続人が誰になるのか、また、相続分はどれくらいになるのかを考えてみましょう。

【事例1】

私は、離婚して2人の子どもを抱えた夫と結婚しました。夫と私の間にも2人の子どもが生まれました。結婚のときに、夫と先妻の子を私の養子にしています。

夫は先月急病で他界してしまいました。遺言書はありません。先妻の子供たちと私たち親子の相続分はどうなるのでしょうか?

夫の両親はすでに他界しており、夫には兄弟が2人います。私は夫の兄弟とは折り合いが悪く、将来が心配です。

先妻の子どもは長女が18歳、長男が15歳、私の子どもは次女が5歳で、次男が3歳です。

このように、離婚・再婚が珍しくない現在では、相続人や相続分がどうなるかとの相談も多くなってきています。
さて、今回の事例を図に表してみましょう。

まず、誰が相続人になるかですが、配偶者である妻、そして夫と先妻の子である長女、長男、そして夫と妻の子である次女、次男です。
配偶者(夫又は妻)は常に相続人になります。また、子どもがいる場合は子どもも相続人になります。子どもがいない場合は直系尊属(両親)に、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。

では、相続分はどうなるのでしょうか?
この場合、妻が2分の1を相続し、子どもたち4人が残りの2分の1を相続することになりますので、子どもたちそれぞれの相続分は各8分の1ということになります。先妻の子である長女、長男も、夫と先妻が正式な夫婦のもとに生まれた子(嫡出子といいます。)ですので、次女、次男も含め、平等に扱われることになります。

余談ですが、正式な夫婦のもとで生まれていない子(婚姻外で生まれた子)のことを「非嫡出子」と言います。この非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1になります。(民法900条4号但書)したがって、いわゆる愛人の子の相続分は、正妻の子の2分の1ということになります。

いかがでしたでしょうか?
次回も事例をもとに相続関係について検討していくことにします。

(健軍事務所)

判例紹介

名誉毀損記事と雑誌の発行差止めの可否について(北方ジャーナル事件)

最高裁判所 昭和61年6月11日 判決

事案の概要

Aは知事選挙に立候補を予定していたが、B社が発行する雑誌(『北方ジャーナル』)の記事の中にAの私事にも触れるような名誉を毀損する具体的な記載があり、結論としてAが知事として相応しくないという記述があることを知りました。

そこで、Aは地方裁判所に対し、当雑誌の出版差止めを求める仮処分(一時的な出版停止)を申請し、それが認められました。そこで、B社はこの差止めは憲法の保障する「表現の自由」を侵害するものであり、裁判所による雑誌出版の差止めは「検閲」であり違法であるとして、国及びAに損害賠償請求を求めて提訴しました。

1審、2審ともにB社の請求は認められず、B社は上告。

判決の要旨

  1. 「裁判所の仮処分による事前差止めは、行政機関により行なわれる場合と異なり、私人間の紛争について、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるのであって、「検閲」にあたらない。
  2. また、名誉権に基づく出版物の事前差止は、出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的でないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を蒙るおそれがあるときに限り、例外的に許される。
  3. 以上の点につき審理した結果、地方裁判所が、本件雑誌の出版差止めを命ずる仮処分命令を発したことは「検閲」に当たらず、また、表現の自由を不当に侵害するものではないことを理由として、B社の上告を棄却しました。

解説

名誉権と表現の自由は、時として衝突します。本件でも、知事立候補予定者は、選挙に当選するため自分の名誉に係わる不利な情報が公表されることを出来る限り避けたいでしょうし、他方、雑誌社としては、有権者に対し、候補者に関する正確な情報を掲載したいと考えます。そのせめぎあいをどう調整したら良いのか、非常に難しい問題です。

一般に、政治家や公職選挙の立候補者の名誉に関わる事実を公表する場合は、一般市民の名誉に係わる事実を公表する場合より、表現の自由が広く保護されています。本最高裁判決では、真実であっても、「専ら公益目的」でなければ(つまり、私益が混じっていれば)差止めが認められることになり、公益目的があっても、「真実」でなければ(つまり、公表した内容を真実と誤信したことに相当な理由があっても)差止められることになります。この点を捉えて、立候補者等に関する表現の自由の保護に欠けるのではないかとの指摘もなされています。

(清水事務所)

コラム

祝い事

先日、久し振りに友人の結婚式に出席しました。

一緒に出席した独身の友人が触発されたのか「実は、彼女と結婚の話が出てる。」と言い出し、彼女から結婚式の様子をリサーチしてくるように言われているとのことでした。

そして、デジカメを取り出し、式場や料理の写真をパシャパシャと撮り始めました。

その様子がまんざらでもなく、うれしそうでしたので、本当に結婚するのではないかと思います。

今月は友人と親族の結婚式が続きます。

少し懐具合が気になりますが、幸福が続くことは本当にこちらもうれしい事だと感じる今日この頃です。

(薄場事務所 北里 佳紀)

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

今年の日本シリーズは、千葉ロッテが日本一に輝きました。

リーグ3位からの日本一は初めての快挙ということですが、プレーオフの試合ではすべて相手チームの本拠地で行わなければならない、厳しい状況の中で勝ち上がってきたチームの底力が日本シリーズでも発揮されたのではないかと思います。

最後の最後まで手に汗握って観戦し、大盛り上がりした日本シリーズでした。

本当に素晴らしい試合を見せてくれた両チームに感謝です。

(清水事務所 司法書士 西本 清隆)

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