法エールVol.09

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ご挨拶

皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて、先般、鉄工所を経営されている株式会社アオキの代表取締役社長である青木豊彦さんの講演を聞いてきました。

テーマは「私の経営哲学」でした。青木社長の地元である東大阪市を少しでもよい地域にしていこうと、アメリカのボーイング社の認定工場となり、宇宙関連開発を通して人づくり、モノづくりをされている方です。

時折、涙声で社員さんに対する思い、そして、志の高さの必要性を熱く話される姿に感動しました。

また、「儲」という字の意味について、「信」頼し合える「者」同士で仕事を行い、心のもうけを共有することが大切であるとの話には、論語の「君子は義を諭り、小人は利を諭る」という言葉に通じるところがあると思いました。

私たちの法人も、志を高くし、そして、地域をより良くしていく取組みにも積極的に関与する必要があると思いました。それでは、今月号も宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

遺言の活用

前回に引き続き、遺言を作成する場合によくある質問をあげていきます。

Q. 財産分け以外に遺言書でできることはありますか?(遺言の内容-補充条項と付言事項)

A. 例えば配偶者が既に死亡し、子が3人(それぞれA、B、Cとします)いる方が「Aに相続させる」という遺言書を作成した後、Aが遺言者より先に死亡してしまった場合、この遺言書は意味がなくなります。Aの配偶者やその子供等が受け取ることにはなりません。民法で決められた法定相続による手続きになるため、BとCが相続することになりますが、相続人全員の協議で相続することになれば手続が難航することがあります。このような状況を避けるため、「Aが先に死亡した場合はBに相続する」という内容を加えることがあります。これを「補充条項」と呼び、Aが高齢のときや不慮の事故にあったときに備えて作成することがあります。なお、遺言書に記載される人数によって公正証書遺言作成の費用がかわりますので、ご注意ください。

また、遺言書の内容が平等でない時や、前号で説明した遺留分が問題になる場合などに、遺言者の気持ちや希望などを書き、遺言書どおりに財産を分配するよう書き添えることがあります。これを「付言事項」と呼びます。例えば下記のようになります。

(遺言者の妻に全財産を与える内容の遺言)
「遺言者は長年連れ添った妻○○の今後の生活が心配である。遺言者の財産は、当然のことであるが一人で築いたものではなく、妻○○の協力によるところが大きい。また遺言者の長男△△は独立にあたって開業資金等の援助を行っているので、以上の相続を了承し、○○が平穏に暮らせるように協力してくれることを強く希望する。よって、遺言者の意思を尊重し、遺留分減殺請求などをしないようにお願いする。」

遺言者の最後の言葉ということで、その内容に従う方が多いようです。ただし付言事項はあくまで「希望」であり、法的な拘束力はありませんのでご注意ください。

Q. その他遺言に残しておいた方がよいことはありますか?(遺言の内容-その他)

A. 生命保険の受取人の変更、債権債務の処理( 相続人に対しても含む) 、事業承継などの金銭的なことから、葬儀の希望、墓地の承継など後々争いになりそうなこと、決めておかないと手続が非常に面倒なものがあります。

また、自分の判断能力が低下しても心配のないように、任意後見契約を一緒に作成されている方が多くなっています。任意後見契約とは、判断能力がしっかりしているうちに信頼できる人を見つけ, 「もし自分の判断能力が衰えてきた場合には自分の財産を管理したり, 必要な契約締結等をして下さい」とお願いしてこれを引き受けてもらう契約のことです。任意後見契約も遺言書と同様自分の思いを実現し、また争いを未然に防ぐという点で大きな力を発揮します。当法人では「老い支度」の一環として、任意後見契約の締結を支援しております。

以上、3回にわたり遺言の活用方法について説明して参りました。遺言を作成しておくことは、万一の時に強力な効果を発揮します。遺言がなかったばかりに非常に複雑な手続きを必要としたり、相続人間で争いが起こったりすることも少なくありません。遺言に関しては早めの相談をおすすめ致します。

次回からは事業承継についてご説明する予定です。

判例紹介

不法行為時から20年が経過した後の損害賠償請求権

最高裁第三小法廷 平成21年4月28日 判決:平成20年(受)804号

事件の概要

昭和53年にAはBを殺害しました。その際Aは、死体を自宅の床下に掘って埋め、殺害行為の発覚を防ぐため、自宅の周囲をブロック塀、アルミ製の目隠しで囲んだり、防犯カメラを設置するなどしました。

26年後の平成16年、Aの自宅は、土地区画整理事業により明渡を余儀なくされ、Aは死体が発見されることは避けられないと思い、警察に自首しました。

翌平成17年、殺害されたBの相続人である弟らは、Aに対する慰謝料等の損害賠償請求訴訟を提起しました。

本件では、殺害行為から20年経過しているので、時効により損害賠償請求権が消滅しているかどうかが争点となりました。

判決

「被害者を殺害した加害者が、被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために相続人はその事実を知ることができず、相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において、その後相続人が確定した時から6ヶ月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法160条の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じない」

解説

不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、または行為の時から20年で時効により消滅します。行為の時から20年というのは除斥期間といわれており、どのような状況であっても、20年たったら請求することができないという意味です。今回の請求は、刑事事件ではなく、民事事件で、慰謝料等の金銭の請求を求めたものです。

本件は、殺害行為を犯した加害者に対して、被害者の親族が慰謝料等の請求をする場合、殺害時から20年経過していても、一定の要件により損害賠償請求を認めるという判決です。

時効の問題はよくでてきますが、明らかに相手方に落ち度がある場合等は、泣き寝入りせずに請求すると認められる可能性があります。

相続財産に関する時効の停止

第百六十条相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

不法行為による損害賠償請求権の期間の制限

第七百二十四条不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

コラム

すずめのダイちゃん

私の家ではすずめを飼っています。小学校のころ校庭で弱っていた雛を拾ったのが最初で、そのうちに近所の人たちが雛を見つけてはうちに持ってくるようになりました。もう10羽目くらいになります。

名前は「ダイちゃん(10代目)」、正式には「大五郎」といいます。由来は某時代劇からとって姉がつけました。姉はネーミングセンスがないようです。(笑)

先代(9代目) のすずめも「大五郎」という名前だったのですが、卵を産んだのでメスだということが判明しました。今回のダイちゃんは果たしてオスでしょうか、メスでしょうか?

どちらにしても、手の中で眠っているダイちゃんを見ているととても癒されます。ペットってかわいいですね。

(清水事務所 髙岡 愛)

スタッフ紹介

今月は、髙岡愛( めぐみ) さんを紹介します。

平成20年12月入社。現在、清水事務所で勤務しています。

髙岡さんは、とにかく真面目で、物事に対して一所懸命に取り組む姿勢は、周囲に良い刺激を与えてくれます。また、ハキハキとした口調で気配り上手。古き良き時代!?の女性です。

そんな髙岡さんの趣味を料理のレシピ風にまとめてみました。

  1. バドミントン・・・・少々
  2. 映画鑑賞(邦画)・・小さじ2
  3. 同じく(洋画)・・大さじ2
  4. 睡眠・・・・・・・・大さじ3 ※疲れている時には、多めに入れて下さい。
  5. お寿司の食べ歩き・・お好みで ※今回は、回転している方を使用します。

う~ ん、どんな料理が出来上がるのでしょうか・・?楽しみですね!

(薄場事務所 福島 直也)

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