法エールVol.26

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ご挨拶

平成23年2月1日、鹿児島県肝属郡錦江町に「南大隈地区司法書士法律相談センター」が開設されました。これは、日本司法書士会連合会が司法過疎地域の解消の取組みの一環として行ったものです。同会では、これまで司法過疎地域での司法書士事務所開業支援についても、積極的な取り組みを行ってきました。そして、今般同地域で生活をされている住民の方に、司法書士事務所の開設までは至りませんが、法律相談をとおして法的サービスを提供していこうとするものです。この取り組みは、全国でも最初の取り組みとなりますが、地元鹿児島会では、若手司法書士が中心となり、輪番制をとり同センターを支えていくということです。司法過疎地域における法的拡充に大いに期待したいものです。

我が法人においても従たる事務所を活用しての司法過疎地域の解消を目指しています。そのために、今後、人的組織を整備し、日本のどこに住んでいても、より良い法的サービスを受けることができる社会の実現のために寄与していきたいと思っています。

それでは、今月号も宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

トラブル解決の方法

今回は、先月号でご紹介しましたトラブル解決方法の一つである少額訴訟手続につきご説明致します。

  1. この手続は簡易裁判所で利用できる手段で、「少額」とは、金額が60万円以下を指し、金銭の支払の請求を目的とするものを言います。例えば、約束の期限が来たのに借主が金銭を返してくれない、買主が売買代金を支払ってくれないという場合に、迅速かつ効果的に金銭を回収できるように工夫されています。

  2. その工夫としては、第1に迅速かつ効果的な回収を図るため、原則として第1回目の裁判の日に証拠調べを含む審理は終了し、その日に判決が言渡されます。そして、この判決には「仮執行宣言」というものが付けられ、強制執行が可能な状態になります。

    第2に、仮に被告(借主)が借りた金銭を一括して支払えないような経済状況にある場合には、被告が任意に支払うことを促すため、一定の条件のもとに、判決において、分割払い、支払の猶予等の定めがなされることもあります。また、話合いでの解決も可能で、話合いにより解決したときは和解という方法もあります。

  3. 以上のように少額訴訟は利用しやすい手続ですが、この手続を利用する上での留意点を若干ご説明致します。

少額訴訟を起こす場合、被告が少額訴訟で手続きを進めることに異議を述べない場合に限り、手続が進められます。被告の異議があれば、通常の訴訟手続に移ります。また、原則として最初の裁判の日までに原告も被告も、自分のすべての言い分と証拠を提出する必要があります。

しかも、この証拠は第1回目の裁判の日にすぐに調べることができるものに制限されています。

以上のような制限がありますので、紛争の内容が複雑であったり、すぐに取調べることができないことが予想される事件には適さない手続ということになりますが、紛争が複雑でない場合には、迅速に紛争解決を図ることができるというメリットがあります。

判例紹介

契約して二カ月経過後にクーリング・オフが認められた事例

事案の概要

X:信販会社
Y1・Y2:消費者
A:販売業者(代理店)
B:販売業者
C:Aの従業員
D:Y1の代理人

平成17年11月5日、Cは、Y1ら宅を訪問し、Y2およびDに対し、太陽光発電システム等の販売勧誘をした。同月9日、Cらは、Y1ら宅を訪問し、「太陽光発電システムを取り付ければ、電気代の節約になる、同システムを利用してできた電力を売れば、電力会社から代金が払われる、電気の売却代金でローン代をほぼ賄える。すべての代金と設置費用の合計額は495万円になる」等との説明をし、見積書を示した。同日、Y2およびDは、申込日を同日、商品の引渡日を同年12月初旬頃、商品(役務)名が太陽光発電システム、オール電化、数量1、役務提供あり、役務に関する別紙明細は無しとの記載がなされ、金額495万円、支払総額617万4,419円で、毎月の支払額3万4,000円余、平成18年1月から180回払い、保証受託会社をX、売買契約(商品等)の問い合わせ先として、販売店をB、代理店をAとする本件ソーラーローン契約書に自署押印した。

同月11日、XからY1ら宅に、本件立替払契約、本件保証委託契約および本件連帯保証契約の意思確認のための電話があったが、その際、Y1は自宅におらず、CがY1に成り済まして電話に対応をしたとみられる。

同月14、15日頃、Cは、Y1ら宅を訪問し、太陽光発電システムの本見積書を交付するとともに、DはY1の代理人として、日付が同月9日、システム内容を個人住宅用太陽光発電システム、機器代金と取付設置費用の合計額を495万円、工事着工日を同月27日、工事完了日を同月28日、電力会社との連系開始予定日を同年12月28日とし、請負者をAとする工事請負契約書の注文者欄にY1名義の署名、押印をした。Y2が、同月18日頃、Aの支店に出向き、本件2契約を取りやめると申し入れたところ、Cらは、翌日、Y1ら宅を訪問し、解約を思いとどまるよう説得し、Dは承諾した。

その後工事が行われ、12月より一連の設備の利用ができるようになったが、Y1らは、平成18年1月21日付書面をもって、本件2契約をクーリング・オフした。

裁判所の見解

本件、工事請負契約書には、①商品代金、役務対価の支払時期②クーリング・オフに関する事項③担当者の記載がなく、④虚偽の契約締結日が記載されており、法定の記載事項に不備があるものと認められる。

また、前記事実に加えて、Xからの本件立替契約等に関する意思確認のための電話の際、CがY1に成り済まして対応をしたと見られることや、CらがY2らに対し、ソーラーシステム等の具体的内容の説明が不十分だったなど、Aの取引方法にも問題があると認められることを総合すれば、クーリング・オフの期間は進行せず、本件クーリング・オフの意思表示は有効と解するのが相当である。

解説

本件は、書面受領日から8日間とされている訪問販売におけるクーリング・オフについて、契約から2カ月経過、さらに工事完了後に、契約書面の不備により、クーリング・オフを認めたものです。

※クーリング・オフとは、訪問販売などの一定の取引については、一定期間内であれば、消費者から一方的に契約を解消できる制度です。クーリング・オフができる期間は、不備のない有効な契約書を受け取った日を1日目として計算し、8日~20日以内(取引内容によって異なります)であることが原則です。

コラム

~慌ただしい朝~

今どきと思われるかもしれませんが、1年ぐらい前からミサンガ(紐を編んだもので、手首や足首に着用し、自然に切れたら願い事が叶うというもの)をつけていました。

そしてついにあの時が!!

ミサンガついにキレました。

朝起きて布団を片付けていると残骸を目撃。

自分の足も確認。

ない!!

「これで願いが叶う!!」と喜ぶ。

しかし、よくよく考えると何もお願いしていないことに気付く。

逆に損した気分になったものの、特段八つ当たりするものも思い浮かばず、仕方なくいつもどおりの朝を送ることに。

なんだか慌ただしい朝でした。

(健軍事務所 宅野 洋史)

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

私のストレス発散方法の一つはドライブです。

といっても、最近は遠方まで行くことはあまりなく、1時間から2時間、好きな音楽を大音量で聴きながら、そして時に一緒に歌いながらドライブしてます。どんな音楽を聴くかは、以前も日記に書きましたが、洋楽がほとんどです。なんちゃって英語で陽気に歌ってる姿が目撃されるかも・・・!?

最近のお気に入りは三角の西港です。海を見ると気持ちがスッキリします。

先日新しいデジカメを買ったので、早く春が来ないかな~と楽しみにしているところです。

(健軍事務所 司法書士 山﨑 順子)

お知らせ

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。

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