法エールVol.01

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ご挨拶

皆様、新年明けましておめでとうございます。良いお年をお迎えになったことと思います。

さて、この度、司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センターからの情報紙として、『法エール』を発行させていただくことになりました。

この名称には、法的情報の提供等を通して、企業や個人を応援していきたいという思いがこめられています。微力ではありますが、法律の専門家として、企業の発展のため、人の幸福のために少しでもお役に立てればと思っています。

また、我が法人には、「法を活かし、人を活かす」という経営理念がありますが、平成21年度におきましては、この理念に基づき「不撓不屈・自己を律し、自己を高め、使命を貫く」という経営方針のもとで行動していきます。

冒頭述べましたような「法的情報の提供等を通して応援してきたい」という思いは、経営理念や年度方針を実践してく中で、皆様から私たちへエールをいただけるだけの実力を備えていくことで実現できるものであるとも思っています。

一人でも多くの方からのご支援をいただけるよう、まだまだ未熟な私たちではありますが、本職・社員一体となりこの「法エール」を通し、皆様のお役に立てる法的情報等を提供していきますので、どうぞこれから宜しくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

遺産紛争について

大切な家族との別れはとても辛く悲しいことです。残された家族が亡き人と過ごした時間を思い出にこれからの人生を生きていこうと歩み始めます。

しかし・・・

「不動産は私のものだ。」
「あなたは生前からたくさん援助してもらっていた。」
「最期まで私が看取ったから財産は多くもらうわよ。」

と亡き家族の財産についてもめることになるとさぁ大変!
さっきまで悲しみを共有していた家族が一変して争いごとに。

そこで亡き家族が残した財産(相続財産)の分け方については、遺言書がある場合は遺言書に従い、遺言書が無い場合は法定相続人の協議によって分ける方法(遺産分割)や法律によって分ける方法(法定相続)があります。

今回はまず初めに「法定相続人」「相続財産の種類」について説明します。

法定相続人間の順位

【第1順位の相続人】・・・被相続人に子がある場合は、子と配偶者が相続人となります。遺産の2分の1を配偶者、残りの2分の1を子が相続します。

【第2順位の相続人】・・・被相続人に子がない場合は、被相続人の父母と配偶者が相続人となります。遺産の3分の2を配偶者が、残りの3分の1を父母が相続します。

【第3順位の相続人】・・・被相続人に子がなく、父母も死亡している場合には、被相続人の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。遺産の4分の3を配偶者が、残りの4分の1を兄弟姉妹が相続します。

【配偶者】【その他の相続人】
配偶者・子2分の12分の1
配偶者・直系尊属3分の23分の1
配偶者・兄弟姉妹4分の34分の1

配偶者は常に相続人となり、父母と兄弟姉妹は上の順位の相続人がいない場合に相続人になります。子が死亡している場合は孫が、父母が死亡している場合には祖父母が、兄弟姉妹が死亡している場合は兄弟姉妹の子が相続人となります。

では、相続財産について実際具体的にどのような種類や考え方があるでしょう。

相続される財産の範囲

被相続人の財産、権利、義務が相続の対象になります。現金、預貯金、不動産等のプラス財産、そして借金等のマイナス財産も相続の対象になります。

(1)死亡退職金

死亡退職金は相続財産には含まれません。相続放棄をした人でも受け取ることができます。死亡退職金は会社の就業規則などで定められたり、公務員の場合は法律や条令で定められています。

(2)生命保険や遺族年金

生命保険金は、受取人の指定方法により相続財産となる場合とならない場合があります。

【受取人を「相続人の誰か(例えば妻)」にしている場合】

保険金は、相続財産とはならず相続人(この場合は妻)が全額受け取ります。

【受取人を「相続人」として指定し、個人名を指定していない場合】

上記同様、相続財産ではありませんが、相続人全員が保険金を受け取ることになるので、相続人間で分けることになります。

【受取人を「被相続人本人」としている場合】

保険金は一旦本人に帰属するため相続財産となります。その後誰が受け取るかは分割協議により決定します。

遺族年金の加入者が亡くなった時、遺族に支給される遺族給付は相続財産ではありません。遺族給付は、法律によって受取人が死亡した者と同じ生計で暮らしていた配偶者や子や父母などとその資格が決められており、給付を受ける順位も定められているので、その受取人の固有の権利であって相続財産ではありません。

(3)葬儀費用や香典

葬儀費用の負担者や香典の帰属については法律の定めはありません。いずれも相続財産にはあたらないため、相続人間での話し合いで決定します。話し合いで解決できない場合は、慣習や条理によって判断せざるを得ず、一般的には喪主に負担・帰属されています。

(4)お墓や仏壇などの祭祀財産

祭祀財産は相続財産にあたらず、祖先の祭祀を主宰すべき人が単独で承継します。祭祀承継者は、第一に被相続人の指定で、第二に慣習で第三に家庭裁判所で定めます。

(5)ケースバイケースによる相続財産

借家権や生命侵害による損害賠償権、社員権、ゴルフクラブの会員権についてはケースバイケースになります。ゴルフ会員権については、理事会の承認があれば相続人に承継するということもあるそうです。

(清水事務所)

判例紹介

最高裁第二小法廷平成20年1月28日判決

株式会社の取締役は、業務を怠り会社に損害を与えた場合には、会社に対してその損害を賠償しなければなりません。

この判決は、平成9年に経営破たんした北海道拓殖銀行の取締役が損害賠償請求を受けた事件で、その損害賠償請求権の消滅時効が5年なのか10年なのかが主な争点となりました。

最高裁の判断は、損害賠償請求権は10年で時効消滅するという、取締役にとって不利な判決となりました。しかし、会社内部の事情は外部にはなかなかわからないこと等を考慮すると、妥当な判決であったといえます。

最近、取締役が訴えられるケースが増えているようです。破綻した後に役員に経営責任を問うというのは、ある意味当たり前のことですが、一生懸命に経営をしてきたうえに、このような請求をされたのでは、取締役としては何ともいえない気持ちになります。

会社としては、重要案件については書面で記録を残しておく等、業務を過失なく行っていたということを立証する証拠を、常に意識して残しておくようにすることが大切になってきます。

(薄場事務所)

コラム

「問」

壺を用意。可能な限り石を入れる。

次に隙間に砂を入れる。

最後に水を入れ、壺は満杯。

これは人生でどのようなことを表しますか?

たぶんこんな感じの問いだった。

答えが気になるので、続きを読む。

人はスケジュールを調整すれば綺麗に収まる!

ということではなく、これは小さいことを先にやり続けると後に大きいことができる余地はない!

重要なことを先にしていきなさいという教訓のようだ。

久々にしびれました。

(健軍事務所 宅野洋史)

スタッフ紹介

今月は、宅野洋史さんを紹介します。

入社2年目になり、現在は健軍事務所に勤務しています。

一番若手の社員ではありますが、まじめに仕事に取り組む姿勢は周囲にとても良い影響を与えてくれていて、既に健軍事務所にとって無くてはならない存在となっています。

性格も明るくまじめで、更に、頭脳明晰なので、若手とは思えない説得力を持っています。

そんな宅野さんは音楽・映画鑑賞・パソコン・漫画と多趣味でもあり、インドア派かと思いきや、実はスポーツ万能。

高校時代はサッカー部のキャプテンで、今も清水事務所のメンバーと休日はスポーツに興じています。

これからも持ち前の頭脳と体力で、事務所を牽引してくれるはずです!

(薄場事務所 北里佳紀)

お知らせ

いよいよ平成21年5月21日裁判員制度がスタートします。裁判員制度について2回にわたりお知らせいたします。

裁判員制度は, 国民に裁判所の刑事裁判に参加してもらい、被告人が有罪か無罪、有罪の場合どんな刑にするのかを裁判官と一緒に決める制度です。

対象となる事件は、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などがあります。

裁判員選任方法は

(1) 裁判所が選挙権のある国民の中から裁判員候補者をくじで選び, 各裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作り、この名簿に記載された方に通知されます(この通知とともに調査票も送付されます)。

(2) 裁判員制度の対象となる事件ごとに、裁判員候補者名簿の中から更にくじで裁判員候補者を選び出頭日時等が送付されます。また別に送付される質問票に審理に参加することについての支障の有無などを記入します。

(3) 選任手続(裁判の当日)
裁判所で裁判員候補者の中から裁判員を選ぶための手続を行います。裁判長から事件との利害関係がないか、辞退を希望する場合には理由について質問されます。その上で最終的に再度くじにより裁判員を決定します。

(ご注意)裁判所を装った不審な電話・郵便等にご注意ください。

最近「裁判員選任通知」が届いた方の情報を入手し、裁判所職員と名乗る者から電話で「裁判員候補者名簿に記載されたので, アンケートを実施したい。」と家に訪問する悪質な業者が増えています。裁判所からは必ずA4サイズ程度の封筒を使用して通知されますので、ハガキやメール便、電話等で通知することはありません。不審な郵便物や電話等にはくれぐれもご注意ください。

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