法エールVol.114

PDF版

ご挨拶

6月12日、史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われました。そして、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との共同声明が発表されましたが、その要旨としては、

  1. 新たな米協関係の構築
  2. 朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築
  3. 朝鮮半島の完全な非核化
  4. 米朝間での戦後処理

といったところでしたが、気になる点は、3.の非核化についての声明内容ですね。

会談前のトランプ大統領は、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化という客観的な観点で未来永劫核を放棄させ、非核化を実現させるという勢いでしたが、その内容が後退するだけでなく、会談後は、8月に行われる予定の米韓合同の軍事演習を中断を示唆する発言もされています。北朝鮮のシナリオ通りのような感もありますが、次のステージにおいて、完全な非核化の段階的な具体化が実現されるのかもしれません。

また、今回の共同声明においては、日本人拉致問題について盛り込まれていませんが、日本にとっては、最重要課題であるこの問題の解決なくして経済支援はありえないということを盟友であるトランプ大統領に明言すべきだと思います。そして、今回の会談が世界平和の一歩となることを期待したいと思います。

また、この時期、18歳を成人とする改正民法が成立し、2022年(平成34年)4月から施行されます。ただ、飲酒・喫煙は20歳からとこれまでとは変わらないものの、契約を単独で有効に締結できる時期が早められ、取消権の行使により保護されていた年齢が引き下げられることになり、若者の消費者被害の低年齢化が懸念されます。

変化しつつある世界情勢に関心を持ちながら、新たに創造される法的社会にも適応できるよう更に進化していきたいと思いました。

それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

遺産承継業務(相続財産の管理や処分業務)について

司法書士による遺産承継業務(相続財産の管理や処分業務)について、前々回(遺産承継業務の主な内容)、前回(司法書士に遺産承継業務を依頼するメリットや注意事項)と2回にわたり、お伝えしています。

3回目は、司法書士による遺産承継業務の手続きの概要について説明いたします。

<遺産承継業務の手続きと大まかな流れ>

1.遺産承継業務の依頼と相続人の確定

相続人の一部の方から、遺産承継業務の依頼をいただきます。そのうえで、戸籍謄本を収集して相続人を確定し、更に法定相続分を確認します。

2.相続人全員から依頼

1.による戸籍等の収集により判明した相続人全員から、遺産承継業務の委任状等に署名捺印をいただきます。

3.全ての財産調査

全ての相続財産を調べます。預貯金、金融資産、株など有価証券、不動産等を調査し、財産目録を作成します。

4.相続人全員に、財産目録(遺産の全対象)を通知

相続人全員に対して、一部の相続人のみが不利益を受けるということが無いように財産目録を通知します。必要があれば、個別に財産の中身を説明いたします。

5.相続人全員で遺産分割協議

相続人全員で遺産分割協議を行っていただきます。尚、相続人全員が法定相続分での分割を希望している場合は、当法人で配分表を作成します。

6.遺産分割協議書または配分表の確認後に配分

遺産分割協議書又は配分表をご確認いただき、財産の配分内容に問題がなければ、相続人全員で遺産分割協議書に署名捺印し、これに基づき遺産を配分して業務が終了となります。

以上が、遺産承継業務の概要となります。

相続については、遺産の内容や相続人の数、相続人同士の関係などにより、その手続きは大きく異なることになります。複雑化する財産内容や家族のあり方などにより、今後、司法書士や弁護士による遺産承継手続きのニーズは更に高まるものと思われます。相続に関する手続やご相談は、お近くの司法書士や弁護士、当法人にお問い合わせ下さい。

判例紹介

グーグル検索結果削除請求事件許可抗告決定

最高裁判所第三小法廷 平成29年1月31日 決定《平成28年(許)第45号》

事案の概要

(1) Aは、平成23年12月、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の罪により罰金刑に処せられた。上記事実は逮捕当日に報道され、その内容の全部又は一部がインターネット上のウェブサイトの電子掲示板に多数書き込まれた。

(2) グーグルは、利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し、ウェブサイトを識別するための符号であるURLを検索結果として当該利用者に提供することを業として行う者である。グーグルから上記のとおり検索結果の提供を受ける利用者が、Aの居住する県の名称及びAの氏名を条件として検索すると、当該利用者に対し、URL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋が提供されるが、この中には、本件事実等が書き込まれたウェブサイトのURL等情報が含まれる。

本件は、Aが、グーグルに対し、人格権ないし人格的利益に基づき、本件検索結果の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案である。

裁判所の判断

「検索事業者が、・・・その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」

「これを本件についてみると、抗告人は、・・・児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが、・・・今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また、本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。以上の諸事情に照らすと、抗告人が妻子と共に生活し、前記一(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。」

コメント

本決定は、表現の自由とプライバシーとの調整というところで、比較衡量により判断されています。本件は、性犯罪という社会的に防衛の必要性を正当化しやすい事例であったと思いますが、犯罪者の更生など、刑事政策的な観点も考慮すると、時間の経過とともにこの件に関する検索の結果を残す必要性も変化するのではないかと感じます

司法書士日記

6月と言えば、梅雨ですね。

今年の熊本(ちなみに熊本は九州北部に入るそうです)の梅雨入りは平年より8日早い5月28日だったそうです。

梅雨と聞いて想像することは、なんかジメジメして蒸し暑いし、だからといってクーラー入れたらちょっと肌寒いし、あんまりよいイメージはわきませんよね。

私の場合も、受験時代、司法書士試験の1ヵ月前ということもあり眠れない日々が続いて一番きつかった季節だという悪いイメージしかなかったのですが、最近は年とったせいなのか太陽の光がまぶしくて、曇りもしくは雨の天気予報が出てるとなんかラッキーと思ってしまいます。

そんな曇り、雨のイメージが強い梅雨ですが、最近はちょっと好きな季節になってきています。

(健軍事務所 司法書士 小山 信一郎)

コラム

~楽しいことには何でも取り組みたい~

私の趣味の一つがゴルフです。

とは言っても、ほとんど練習せず本番(ラウンド)に臨むので、スコアーはボロボロ。メンバーからはへたくそとの言葉のシャワーを浴びます。辛い。

しかし、自分で狙った通りの球筋で、狙ったとおりの地点にボールが落下したときは、思わず「ヨシ!」と声が出ます。爽快極まりないです。楽しいです。

また、ラウンド中に同級生や知人とたわいもない話をしながら、褒め合い、けなし合いしながらコースを回るのも、これまた楽しいです。

そして、極めつけは、ラウンド後の、反省会と称する懇親会と二次会。

このような楽しいことに色々取組みながら、気分転換を図り、仕事や人生の充電をしています。

行政書士法人ヒューマン・サポート 行政書士 藤田 賢司
(司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター連携行政書士)

お知らせ

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333

命の絆・大切に、輝く命・永遠に

当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-337-1251 FAX 096-337-3355

司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。
会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。

PDF版