法エールVol.70

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ご挨拶

毎年10月頃には、熊本の風物詩となった「熊本暮らし人まつりみずあかり」開催されます。平成16年から行われており、熊本城周辺に竹灯籠などに約5万4千個のろうそくをともす祭典です。竹灯籠制作など運営のすべてが延べ2千人の市民ボランティアによって担われていますが、このようなことが評価され平成23年度の「ふるさとイベント大賞総務大臣賞」も受賞されました。

当法人も、事前のお手伝いをさせていただいていますが、昨年は竹への穴あけ作業、今年は穴の開いた竹と竹をつなぐ作業を行いました。簡単そうに見えて実際やってみるとなかなかうまくいかないものです。それでも、作業後半になると何とか要領を掴むことができ、より楽しく作業に集中することができました。作業終了後のバーベキューには、当法人の職員と初めて参加しましたが、作業を成し遂げた者同士で達成感を味わい、一体となってこの祭りの成功に向けさらに意識が高まったように思いました。

しかし、残念ながら今年は台風の影響で二日間の開催予定が一日だけとなりました。

それでも、訪れた人には、幻想的な景観の美しさを見てもらうことができ、感動を与えることができたのではないかと思います。

このようなイベントが永続することを祈念しつつ、身近に参加できるまつりがあることにあらためて感謝したいと思います。まだボランティア参加をされたことがない方は、是非来年体験されてみてはいかかでしょうか。

それでは、今月号もよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

民事法律扶助について

はじめに

法律相談や書類作成は、お金がかかるから司法書士へ依頼できないという話をよく聞きます。しかし、経済的にお困りの方には、民事法律扶助という制度があり、法テラスという国の機関が、弁護士・司法書士の費用を立替えてくれます。

これから、知っているようで知らない、民事法律扶助についてご説明していきます。身近に困っている方がいらっしゃったら、民事法律扶助があるから、相談にいってみたらとアドバイスしていただけると幸いです。

 

民事法律扶助の経緯

憲法では、裁判を受ける権利が保障されており、そのために、1952年に財団法人法律扶助協会が創設され、民事事件での弁護士費用の立替え、書類作成援助、無料法律相談などの事業を行ってきました。

2000年には国民がより利用しやすい司法制度を実現するために、民事法律扶助法が成立し、法律扶助に関する国の責務を明確にし、国庫補助が大幅に増額されました。さらに、04年に成立した総合法律支援法により、06年10月に、民事法律扶助業務が法律扶助協会から日本司法支援センター(法テラス)に移管され、従来の業務に加えて、支援センターの契約弁護士・司法書士等が直接、法律サービスを提供することになりました。

 

これまでの実績

平成24年度に民事法律扶助を法律相談で利用した方は、全国で314,535件ありました。民事法律扶助を利用して、弁護士や司法書士に代理人となってもらうよう依頼した件数は、平成24年度105,019件、法律書類の作成を依頼した件数は、5,441件です。

上記のとおり、平成24年度は、計40万件以上の法律扶助の利用がありました。この数字はわかりにくいかもしれませんが、平成20年度の法律扶助件数が26万件ほどでして、約1.5倍の伸びを見せています。法律扶助が浸透してきた結果だと思います。

これからさらに民事法律扶助の件数が増加し、法律相談を身近に感じていただけるようになればと思います。

 

次回は、民事法律扶助の要件等について、ご説明いたします。

判例紹介

強盗殺人事件

さいたま地方裁判所 平成21年05月07日判決

<事案の概要>

被告人は、被害者に対して借入金等の名目で合計金1,345万円の支払いを負い、その支払いを迫られていた。被告人は、被害者を殺害して上記債務を免れようと企て、平成20年11月1日、飲食店内において、殺意をもって、バールでその後頭部を一回殴った上、左腕を同人の頸部に巻きつけて絞めつけるなどし、頸部圧迫による急性窒息により殺害した。

 

<裁判所の判断>

被告人と被害者は、共同経営に失敗し、被告人は、金銭に窮乏してサラ金や被害者から借金を重ねていた。平成20年5月に被害者より飲食店の営業権を譲り受けた際、それまでの被害者からの借金をまとめるという意味で、合計1,410万円を支払う内容の金銭借用証書を作成し、その後一部を分割し、債務が1,345万円にまで減少していた。

同年9月末、被告人は、道路交通法違反(無免許・酒気帯び)で身柄を警察に拘束され、借金の返済が不可能な状態になった。同年10月20日、被害者は、警察の留置施設にまで来訪し、強く借金の返済を迫り、被告人の窮状に理解を示さなかった。それにより、被告人は、被害者の態度が非情であると憤りを覚え、今後、店の経営を再開させ順調に経営をしていくためには、被害者を殺害して支払いを免れるほかはないと短絡的に殺害を決意したものである。また、犯行後は、遺体を解体して処分しようと企て、ノコギリ等を購入していることから計画的でもある。被告人は、バールでいきなり背後から被害者の後頭部を殴りつけ、その後、床に倒れこんだ被害者を仰向けにして、その上に馬乗りになって両手で首を絞め、さらにうつ伏せになって這って逃げようとすると、上に覆い被さって背後から左腕を巻きつけて首を強く絞め続けて頸部圧迫により急性窒息により死亡させた。

被告人の犯行態様は、執拗かつ残忍、被告人が免れた債務の金額も多額であり、悪質である。また、犯行後、被害者の遺体を解体して処分しようとしたが、結局解体不可能と判断して、被害者を無残な姿で犯行現場である店内に放置し、被告人は、被害者に対する哀れみの感情や、悔悟の念は皆無であると言わざるをえないとして、被告人を無期懲役に処した。

 

<コメント>

被告人は、犯行後自首しましたが、それは被告人が被害者の遺体の解体処分を断念した結果、いずれ遺体が発見され、被告人の犯行が発覚すると考えてやむなくしたものに過ぎないという経緯等からして、被告人の真摯な反省悔悟の念に基づくものと評価することは出来ず、刑を減刑して有期懲役を選択するのは相当ではない、と裁判官は判断したようです。全くその通りだと思います。この被害者家族と被告は、犯行時までは、家族ぐるみの親交があったそうです。こんな残酷なことが出来るなんて・・信じられません。

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

こんにちは。司法書士の德丸です。

人は犬好き、猫好きに分けられるそうですが、私は犬好き派で、我が家では犬を飼っています。

名前を「みらいちゃん」、ビーグル犬のメスです。

人懐っこく、やさしい顔立ちで、番犬にはなりませんが、散歩をしていると「かわいいね」とよく声をかけて頂けます。

そんなみらいちゃんも今年で11歳、老犬の域に入ってきました。

太りすぎたりしないよう、ごはんや運動など健康に気を配っています。

最近は、性格もワガママになってきている気がします。

犬も歳を取ると子供返りを起こすのかもしれませんね。

何はともあれ、もうしばらく、愛犬と一緒の時間を過ごしたいです。みらいちゃん、長生きしてね。

(清水事務所 司法書士 徳丸 雅紀)

コラム

秋の香り

昔、実家の庭に植わっていたからでしょうか。

金木犀の香りを嗅ぐと、「あぁ、秋がやって来たんだな」としみじみと感じます。

金木犀は、花冠を白ワインに漬けて「桂花陳酒」にしたり、お茶に混ぜて「桂花茶」という花茶にしたり、本当に便利な花です。少し調べてみたところ、「甘めでしっかりした強い香り」であることから、汲み取り式便所が主流だった時期には、その近くに植えられることも多く、1970年代初頭から1990年代前半までは、トイレの芳香剤の主流だったそうです。

某インターネットサイトには、「一部年齢層においてはトイレを連想させることがある」と説明が載っていました。

みなさんは、金木犀の香りで何を連想しますか。

薄場事務所 髙岡 愛

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寄り添う支援で笑顔ふたたび

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