法エールVol.63

PDF版

ご挨拶

3月は、バレンタインデーのお返しをするホワイトデーがあります。チョコレートはもらわなかったけれど、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝えるためのプレゼントもあるでしょう。コミュニケーションが深まることで、職場や家庭が活性化する契機になればと思います。

そして、今年の3月は、例年と違った行動をとる方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは、来月4月からの消費税値上げに伴う高額商品の購入やまとめ買いです。4月以降は、買い控えが起こることが想定されますが、今年の消費税アップは、2段階(平成26年4月から8%、平成27年10月から10%)となりますので、今年の後半期からは、今回の消費行動に乗り遅れた方の購買意欲が高まったり、衝動買い
が起きやすくなったりするかもしれません。

企業の方でも、長期間にわたる消費税の特需が受けられる可能性があるので、計画的に消費税対応をし、大きな利益を創りだすこともできるでしょう。ただ、気をつけないといけないのは、1.便乗値上げと思われないような対策と2.消費税還元を連想させる売り方をしないという点です。1.の対策としては、内税表示の場合、消費者に納得してもらえる告知文を作成したり、3%以上の値上げを予定している場合は、その時期をずらしていくということが必要となるでしょう。2.の例として、「3%値下げ」はOKですが、「消費税相当分のポイント付与」の表現はNGです。

消費税は、事業主が国に支払う税金で、消費者から一時預かっているにすぎないのですが、消費者としては、日常生活で消費税を国に納めるという感覚が乏しく、同じ商品が4月1日を境に値上がりするいら立ちを企業にぶつけることもあるかもしれません。更に質の高いサービスを心掛けていく必要があるでしょう。

因みに、司法書士の報酬にも消費税が付与されていますので、私達の法人で受任している案件で、3月に清算できる継続案件は、速やかに対応していきたいと思います。

それでは、今月号もよろしくお願いします。

(代表社員 大島 隆広)

賃貸不動産に関するトラブル3

今回で賃貸不動産に関するトラブルのご紹介は最終回です。今回も事例をご紹介します。

 

(事例1) 内縁関係にある夫とともに借家に住んでいましたが、夫が死亡しました。夫には相続人がいませんが、この場合、内縁の妻はこの借家に住み続けることができますか?

(解説)
内縁の妻は、借地借家法36条1項により、内縁の夫に相続人がいない場合には、その賃借人たる地位を承継し、借家に住み続けることができます。相続人がいる場合については、立法措置は図られていませんが、判例は、内縁の妻が相続人の賃借権を援用することを認めており、借家に住み続けることができます。したがって、内縁の妻は、内縁の夫の死後、賃貸人から借家の明け渡しを請求されても、他の相続人の借地権を援用して、その明け渡し請求を拒否することができます。(引用Q&A借地借家の法律と実務安達敏男・古谷野賢一・坂井雅男著日本加除出版243頁、245頁)

<参考借地借家法36条1項>
居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

 

(事例2) 賃貸借契約書にペットの飼育を一律に禁止する条項がある場合、この条項は有効ですか?この場合賃貸人は、これに違反したことを理由に賃貸借契約を解除して、賃借人に家屋の明け渡しを求めることができますか?

(解説)
一般に、裁判例は、一律に犬や猫などのペットの飼育を禁止する条項の有効性を認めています。ペット飼育禁止条項に違反した場合、これのみを根拠として賃貸借契約の解除を有効と認め、家屋の明け渡しを認める裁判例もありますし、またこの条項違反の他、他の要素を考慮し、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されるに至ったことを理由に賃貸借契約の解除を有効と認め、家屋の明け渡し請求を認める裁判例もあります。

また、ペット飼育禁止条項がない場合には、一般に賃貸人もペットの飼育を認容しているものと考えられますので、通常の飼育方法の範囲内であれば、ペットの飼育は許容されていると解されます。しかし、犬、猫等の飼育により、賃借家屋が汚染、損傷し、また近隣住民に迷惑や損害をかけるなどして、通常許容される範囲を逸脱し、賃貸人に容易に回復しがたい損害を与えるときは、当事者間の信頼関係を破壊するに至っているものと判断でき、賃貸借契約を解除できるものと解されます。(引用Q&A借地借家の法律と実務安達敏男・古谷野賢一・坂井雅男著日本加除出版122頁)

判例紹介

内縁不当破棄と不法行為の成否、民法760条の準用

<事案の概要>

AとBの事実上の夫婦生活中にAが肺結核を患っていたことが別居した後になって分かり、療養生活を送っていたところ、Bから一方的に不当に内縁関係を破棄されることになった。

そこで、AはBに対して不法行為を理由として慰謝料と、民法760条の婚姻費用分担の準用によりAの医療費の一部の支払いを請求した。

(婚姻費用の分担)
第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

 

<裁判所の判断>

いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くため法律上の婚姻ということはできないが、男女が相互協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、婚姻に準ずる関係と言うを妨げない。

内縁も保護されるべき生活関係に他ならないから、内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができる。

以前の判例により、内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の債務不履行を理由として損害賠償を求めることができるともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。民法760条の規定(婚姻費用の分担)は、内縁に準用されるものと解すべきである。

したがって、医療費は別居中に生じたものであるけれども、なお、婚姻から生ずる費用に準じ、同条の趣旨にしたがい、分担すべきものであるといわなければならない。

 

<コメント>

この判例は、婚姻予約不履行による損害賠償責任と、正当な理由なく内縁を不当に破棄した場合には、故意又は過失により権利を侵害したものとして、不法行為による損害賠償責任が成立することを明らかにしました。すなわち、婚姻をしなかったという債務の不履行と不法行為の損害賠償の両方を請求できるという判例です。内縁とはいえしっかりと責任を求められるようです。

司法書士日記

~当法人の司法書士が、趣味の話や最近の出来事など、ざっくばらんに書いていきます~

最近、熊本でもプロ野球広島カープのファンが増えているように感じます。なぜ感じるかというと、熊本市内に広島カープを愛する広島風お好み焼きのお店ができたからです。そこでお好み焼きを食べていると、必ずお客さんからカープの話題がでます。去年クライマックスシリーズに進出した際には、カープ女子がカープのユニフォームを着て、そのお店で応援していました。広島に行かなくても、カープを愛する人たちが集まる場が熊本にできたことは、大変喜ばしいことで、今年のプロ野球の開幕が楽しみで仕方ない今日この頃です(お好み焼きは、オーナーが広島で一番の人気店で修行していたこともあり、広島一番の味が楽しめます。)。

(薄場事務所 司法書士 井上 勉)

コラム

私は「ピンク」が大好きで、洋服や小物類、文房具類、メイクにインテリア、キッチンやお風呂用品等々、いろいろとピンクにこだわっています( 笑) 。

「色」には、性格や心理状態、運気に影響を与える目に見えない力を持っているそうです。

特に「ピンク」は、「愛」「幸福感」「やすらぎ」「女性らしさ」を表すそうで、それと恋愛運・家庭運をアップさせてくれるそうです! ( 効果は出ているかは、その時その時で( 笑) )

そして、今年の判例六法の表紙の色は、なんと「ピンク」! 即効購入しました( 笑) 。

手に取るとテンション上げ上げです!

今年はたくさんのことをピンクで運気アップしていきます! !

健軍事務所 中村 享子

お知らせ

当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結も行っています。

会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。

寄り添う支援で笑顔ふたたび

当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222 FAX 096-341-8333

PDF版