死後事務委任契約の有効性

死後事務委任契約とは、委任者が第三者に対し、自分が亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与する契約をいいます。

委任契約は、委任者の死亡によって終了するのですが、最高裁判決(最三小判平成4年9月22日金法1358号55頁)では、「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約は、委任者の死亡によっても契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」との判示されており、委任者が死後も有効な委任契約を締結することは可能と解されています。

 

死後事務委任契約の内容は以下のとおりです。

・医療費の支払いに関する事務

・家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務

・老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務

・通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務

・菩提寺の選定、墓石建立に関する事務

・永代供養に関する事務

・相続財産管理人の選任申立手続きに関する事務

・賃借建物明渡しに関する事務

・行政官庁等への諸届け事務

・以上の事務に関する費用の支払い