鍼灸学校に対する 学納金の返還請求と不返還特約の効力

最高裁判所 平成18年12月22日 判決:平成17年(受)第1762号 ※(受)…上告受理申立事件

 

事件の概要

X(原告:消費者)はY(被告:鍼灸学校)の平成14年度入学試験を受験して合格し、Yが定めた平成14年度学生要項に従い、所定期限の平成14年2月6日までに、Yに対し入学金70万円、授業料等110万円を納付して入学手続を行うとともに寄付金30万円を支払いました。

ところが、その後Xは妊娠していることが判明して、Yへの入学を取りやめるため同年3月25日から27日までの間に入学を辞退する旨申し出ました。

XはYに対して支払った合計210万円の返還を求めたが、Yは寄付金30万円の返還には応じても、一度支払われた学納金は一切返還されないという特約(不返還特約)を理由として返還に応じませんでした。

そこで裁判所は、寄付金30万円の返還を除いては、

  1. 入学金は入学手続と入学できる地位の取得の対価であり返還を要しない
  2. 授業料等は教育給付の対価であり、辞退があった以上は返還を要する

と判断し、不返還特約は辞退により学校側が受ける損害の賠償額の予定を意味するものであり、消費者契約法第9条1号が適用されること、また、4月1日以前の辞退の場合には学校側に平均的損害はないことなど消費者への授業料返還を認めました。なお、大学における入学辞退の場合の学納金の返還についても同様の判決があります。

平成18年11月27日 最高裁判決:平成16年(受)第2117号

コメント

この判決は、鍼灸学校というある程度の特殊性は認めつつ、大学と異なった扱いをするほどの事情はないとして、平成18年11月27日最高裁判決をそのまま当てはまるものとしたものです。その他各種学校にも影響を与える判決かと思われます。また判決にもあるように、合格者と学校において、消費者契約法が適用されるという事案でもありました。

 

消費者契約法第9

次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

  1. 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの当該超える部分
  2. 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの当該超える部分