遺言の活用②

前回は遺言書の種類や特徴等について説明しました。今回と次回は、遺言を作成する場合、よくある質問をあげていきます。

 

  1. 遺言書を作成できない場合はありますか?(遺言者の状況)

 

  1. 遺言書を作るには遺言者自らの意思によって遺言書を作成する必要があります。認知症等で判断能力が低下すると遺言そのものができなくなる恐れがあります。遺言者が重い病気にかかっている場合等は早急に遺言書を作成しなければなりません。

 

遺言ができるかどうかは状況によって異なりますので、一度司法書士や公証役場に相談してみると良いでしょう。もちろん当法人もご相談をお受けしています。

 

また近年の法改正で口がきけない、耳が聞こえない方でも公正証書遺言ができるようになりました。その他署名ができるか等遺言ができる状況かどうか、確認する必要があります。署名ができない状況でも遺言書を作成することはできます。

 

  1. 遺言書には何を書けばよいのですか?(遺言の内容―財産)

 

  1. 基本的には遺言者の財産をどのように分配するかを記載すればよいでしょう。しかし、財

産にも様々な種類があります。

 

現金や預貯金など、分けやすい財産は大きな問題にはなりにくいですが、不動産や貴金属など分けにくい財産、分けられない財産もあり、こういった財産は管理費や登記の関係上、後々相続人間で争いになるケースも少なくありません。遺言者の意思に合う形で財産分配がされるよう、できるだけ全財産に関する遺言書を作成します。財産がどれだけになるのかはっきりと分からない場合も、「○ ○ に一切相続させる」等全財産を対象とした遺言となるように遺言書を作成することができます。

 

また、遺言を使えば、相続人以外の者に株式等の財産を遺贈することもできます。

 

事業承継に関連して、株式の割り当てが問題にあることがあります。株式は原則として各相続人に民法で定められた割合に応じて相続されます。そのため相続人間で対立がある場合や、相続人が多数となり、意思の統一が図れない場合などに円滑な株主総会が開催できない恐れがあります。その対策として、遺言書で株式を誰に相続させるか決めておくことができます。後継者のために遺言書で株式の行方を決めておいたほうがよいでしょう。

 

ただし、相続人以外の者に遺贈する場合、次の遺留分に注意してください。

(なお、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」等によって、遺留分等に関して民法の特例が定められていますが、これについては後日掲載する予定です。)

 

  1. 遺言書があっても相続人に財産を分けることがあると聞いたのですが?(遺言の内容―遺留分)

 

  1. 遺言によって財産を受け取れないとされた兄弟姉妹以外の相続人でも、いくらかは財産を受けとれることがあります。これを「遺留分(いりゅうぶん)」といいます。たとえば、相続人が配偶者と子A、Bの3人であり、遺言によって配偶者が全財産を相続する場合、子AおよびBは、民法上の相続分の4分の1に2分の1を掛けた8分の1を遺留分として主張できます。

 

この遺留分の制度は、残された相続人の生活を保護するためのものではありますが、せっかく遺言書を作成したのに、この遺留分を請求をされたために遺言書どおりに財産が分配できない場合でてきます。具体的な内容は個別に異なりますので、遺言書を作成されるときに司法書士等の専門家に相談し、確認すると良いと思います。

 

なお、この遺留分の請求の内容は民法で決められています。

 

次回も引き続き、遺言を作成する場合によくある質問について説明します。