建物の隣人との間にトラブルがあることについての不動産仲介業者の説明業務

(大阪高裁平成16年12月2日)

 

<事件の概要>

Xさん:建物の買主

Y:不動産仲介業者(Aさんとの媒介契約)

Aさん:建物の売主(個人)

B:不動産仲介業者(Xさんとの媒介契約)

Cさん:購入する土地の隣接地に住む個人

 

XさんとAさんとの間において、平成14年3月16日にAが所有する土地・建物をXさんに売り渡す旨の契約が成立した。Xさんは居住用として購入。Aさんはこの土地・建物を平成11年10月に購入したが、引越しの翌日に隣に住むCさんから、「子どもがうるさい」などの苦情があり、さらに洗濯物に水をかけられる被害もあった。Xさんについても、売買契約締結後に建物を訪れた際に、Cさんから「あんたのガキがうるさいんじゃ!」「Aみたいに追い出したるわ!」などと言われる事態になり、Xさんは引越しを断念した。またYの従業員は、平成14年3月3日にXさんではない購入希望者とともに建物を内覧したことがあったが、やはりCさんが「うるさい!」と苦情を言い、購入話が流れていた。

そこで、XさんとしてはYに説明義務違反があったことを理由として不法行為による損害賠償を請求した。

 

<判決>

Yは宅地建物取引業者として買主たるXに対し、本件売買契約における重要な事項について説明義務を負う。・・・当該不動産の隣人(C)について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来たす恐れがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、当該客観的事実について説明する義務を負うと解するのが相当である。

 

<解説>

住宅の購入に際し、周辺の環境がどうなっているかということは買主にとって関心ごとの一つです。とりわけ、近隣の居住者の人が問題のある人であった場合、平穏な生活が脅かされるほどである場合、法的な問題として考えることになるでしょう。

今回は普通の生活ができないほどのCさんの言動であり、それが客観的な事実としてYも認識していたのですから、説明不足としてXさんの主張を認めたものです。

近隣トラブルは住宅だけでなく、マンション・アパートにも起こりうるものです。できるだけ近隣の居住者とはトラブルになることがないよう、平穏に仲良く過ごすことができるといいですね。