バージンロードのカーペットで参列者がつまずき 転倒 ・ 負傷 した事故において、結婚式場を運営するホテルの損害賠償責任

仙台地方裁判所 平成17年11月30日 判決 判決文未公刊

 

(事件の概要)

結婚式参列者X(70歳)が、Yホテルの結婚式場のバージンロードのカーペットにつまずき、転倒し大腿骨を骨折、参列者XはYホテルに対し、約6,000万円の損害賠償を求めた。

 

(判決)

裁判所は、結婚式場を運営するYホテルは、結婚式の参列者が転倒しないようにカーペットを床に固定したり、折り返し部分が広がらないよう等の措置を講じたり、参列者に足元に注意するよう誘導するなどの義務があるが、この義務を怠ったとして不法行為責任を負うとした。他方、参列者Xも、バージンロードを踏まないように足元に十分な注意を払って歩いていれば事故を避け得たのであることから、3割の過失相殺をするのが妥当であるとし、1,727万633円の損害賠償の支払いをYホテルに対して命じた。

 

(解説)

本判決は、ホテルでの結婚式にて、ホテル側の参列者に対する安全義務が問題とされた判決です。過失の判断基準は、

1.事故での損害の大きさ

2.事故が起きる可能性の程度

3.損害回避のための行為を要求することにより犠牲にされる利益

4.その行為の社会的必要性

 

などを考慮して、どのような措置が必要なのか総合的に判断されることになります。本件は「事前に防げる事故が予見可能であるのに、安全保護の措置を実施しなかった。また、退出時に出入口に誘導員を置き、参列者に足元に対する注意を促すなどが容易にできたのに、それもしていなかった。」等の理由でYホテルの責任が認められたように思われます。

 

ただし、Yホテルに全責任が負わされた訳ではなく、参列者Xについても、一般的に神聖な場所とされるバージンロードを踏まないように注意することや、歩く際に注意を払わなかったという過失もあるので、結果3割の過失を差し引いた損害額ということになります。